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令和 4年予算特別委員会-03月04日-04号

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  1. 滋賀県議会 2022-03-04
    令和 4年予算特別委員会-03月04日-04号


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    最終取得日: 2023-05-14
    令和 4年予算特別委員会-03月04日-04号令和 4年予算特別委員会              予算特別委員会 会議要録                                開会 10時00分 1 開催日時      令和4年3月4日(金)                                閉会 14時55分                         (休憩 12時20分~13時20分)                         (休憩 14時10分~14時43分) 2 開催場所      議場 3 出席した委員    奥村委員長、江畑副委員長、             井狩委員、本田委員、柴田委員、重田委員、白井委員、             村上委員、清水(ひ)委員、河井委員、佐口委員、             小川委員、黄野瀬委員、松本委員、杉本委員、田中委員、             角田委員、塚本委員、山本委員、大橋委員、駒井委員、             中村委員、桑野委員、周防委員、海東委員、加藤委員、             竹村委員、目片委員、有村委員、大野委員、細江委員、             川島委員、木沢委員、清水(鉄)委員、冨波委員、
                成田委員、九里委員、今江委員、中沢委員、節木委員 4 出席した説明員   三日月知事、江島副知事、中條副知事、             東知事公室長森中総務部長中嶋文化スポーツ部長、             石河琵琶湖環境部長市川健康医療福祉部長、             水上商工観光労働部長西川農政水産部長、             野崎土木交通部長、福永教育長および関係職員 5 事務局職員     箕浦議会事務局次長山本議事課長、             内田議事課課長補佐 6 会議に付した事件  別紙次第書のとおり 7 配付した参考資料  別紙のとおり 8 議事の経過概要   別紙のとおり                  議事の経過概要 開会宣告  10時00分 1 議第1号から議第16号まで(令和4年度滋賀県一般会計予算ほか15件)(全体質疑) ○奥村芳正 委員長  ただいまから予算特別委員会を開会いたします。  本日の日程は、お手元に配付をいたしております次第のとおりであります。  本委員会に付託されました議第1号から議第16号までの16議案を一括議題といたします。  昨日に引き続き、全体質疑を行います。  発言通告書が提出されておりますので、順次発言を許します。  まず、山本正委員、待機席へお願いします。  それでは、山本正委員の発言を許します。 ◆山本正 委員  部局別予算の概要70ページ、ヨシ群落保全事業費について、全て琵琶湖環境部長に伺います。  令和3年に改定されましたヨシ群落保全基本計画に基づき、ヨシ帯の造成や保全の事業として、来年度も予算計上されています。これまでの累計造成面積ヨシ群落保全基本計画における進捗を伺います。 ◎石河 琵琶湖環境部長  県では、失われたヨシ群落の再生、魚類の産卵繁殖の場の確保、自然的環境の復元などを目的として、関係部局が連携してヨシ群落の造成事業を進めてきたところでございます。  具体的には、令和8年度末までにおよそ55ヘクタールのヨシ群落の造成を進める予定としており、そのうち90%に当たる49ヘクタールが、本年度末で完了する見込みでございます。 ◆山本正 委員  それでは、今後の造成について、来年度以降の予定について伺いたいと思います。 ◎石河 琵琶湖環境部長  来年度以降につきましては、令和8年度までにおよそ6ヘクタールのヨシ群落を造成する予定としております。  これまでの取組により、琵琶湖周辺のヨシ群落の面積は、おおむね昭和28年と同程度まで回復しており、今後は、造成事業を中心とした量的回復から維持管理中心の質的向上に努めてまいりたいと存じます。 ◆山本正 委員  それでは、そのヨシ群落の適正な保全、管理についての認識を改めて伺います。 ◎石河 琵琶湖環境部長  ヨシ群落は、琵琶湖の自然景観の重要な要素であるとともに、生物の生息、生育の場、人々の安らぎの場など様々な機能を有しております。  また、人々がヨシ群落と関わることで豊かな自然と文化が守られている地域もあり、適正な保全、管理を進めるに当たっては、こうしたヨシ群落の状態や地域の状況を把握した上で、ヨシ刈りや火入れなど、それぞれの地域にあった手法で取組を進めることが重要と認識しております。 ◆山本正 委員  それともう1点、ヨシ群落維持再生事業に関しましては、1日目に中村委員から巨木化したヤナギの伐採について質疑がありましたが、確認の意味で伺いたいのですが、予算書には、ヨシ群落を衰退させる原因となるヤナギの伐採を実施するとあります。  しかし、本来、このヤナギについてもヨシと同様に、水辺の生き物にとって必要な植物であるということ。また、巨木化したヤナギの伐採については、ヨシが主体となっている群落において、衰退させる原因となっているものについて、やむなく取り除くという認識でいますが、それでよかったのか、改めて伺います。 ◎石河 琵琶湖環境部長  巨木化したヤナギは、ヨシをはじめとする抽水植物群落の衰退の原因にもなっており、一定、伐採する必要があると認識しております。  一方で、水辺のヤナギの根元は、ホンモロコの産卵場になるなど、ヨシ群落の一部として生態系保全の役割を担っております。  このことから、ヤナギにつきましては、皆伐してしまうのではなく、専門家に助言を求めた上で、伐採箇所や時期等を決定するなど、生態系への影響にも配慮した上で、適正な保全、管理に努めているところでございます。 ◆山本正 委員  ヨシについても、ヤナギについても、この湖辺域、水辺に生息する生き物にとっては必要であるということ。また、剪定や伐採することもあるけれども、場合によっては、補植――補って植えることもあるなど、いずれにしろ人の手を入れた適正な管理が重要であるということだと思います。  このヨシ群落の持つ多面的な機能としては、先ほどの答弁の中にもありましたが、魚類の産卵場、そして、稚魚の生活の場、また、貝類の餌場、あるいは昆虫類や両生類の生息の場、そして、鳥の餌場などがあります。そして、これらは、ヨシの水質浄化という機能があることを前提としています。  ここで、懸念するのは、毎年生えては枯れる2メートル以上にもなるそのヨシの茎がどうなっているのかということ。有機物として、底に沈み、バクテリアの分解によって、底の土がヘドロ化しているのではないかということです。この項の最後に、この県の予算を30年にわたって投入されてきたヨシ群落の造成事業ですが、その効果を最大限に生かそうとすると、この朽ちたヨシの堆積物の放置は、かえって水質を悪化させてしまうことになると考えますが、ヨシ群落の全てについて管理できているのか伺います。 ◎石河 琵琶湖環境部長  県では、毎年、琵琶湖や内湖全域のヨシ群落保全区域内を対象に調査を行い、その結果を踏まえて、管理が必要な場所については、優先順位をつけ、取組を進めているところでございます。  具体的には、ヨシ群落の状態やボランティアの皆様による活動などの地域の状況を把握した上で、維持管理を行う場所を選定し、ヨシ刈りや火入れ、清掃等を行っているところでございます。  今後も、ヨシ群落の状態や地域の状況を把握した上で、それぞれの地域にあった管理を行ってまいりたいと存じます。 ◆山本正 委員  この30年という長い年月と、この巨額の予算が投入され、面積的にもほぼ回復してきたということです。これまでの実績に感謝いたします。  その上で、これらのヨシ帯が枯れたヨシのヘドロ化によって逆行しないように、保全と管理にもっと予算の比重をかけるべきではないかと考えておりましたが、そのような答弁になっておりましたので、安心いたしました。ありがとうございます。今後とも、どうぞ持続可能なヨシ群落の保全をよろしくお願いいたします。  それでは、次に、保育人材の確保、質の向上について、全て健康医療福祉部長に伺います。  年々増え続けている保育に対する県民ニーズに対して、保育士不足は、慢性的に大きな課題となっています。  まず、部局別予算の概要の119ページ、保育対策総合支援事業費補助について伺います。  保育士に係る業務負担の軽減や離職防止のために、保育補助者の配置を支援するとして、市町に3億8,600万円余が計上されていますが、県内の保育園の状況について伺います。 ◎市川 健康医療福祉部長  保育対策総合支援事業費補助でございますが、保育士資格を持たない保育補助者の雇上強化事業や、清掃や後片づけ、園外活動の見守りなどの保育周辺業務を行う者を配置する保育体制強化事業など、8つのメニューで構成されているものでございます。  保育補助者雇上強化事業につきましては、今年度43か所分の申請があったところを来年度は56か所分、保育体制強化事業は、今年度105か所分の申請があったところを来年度は130か所分、市町からの要望を基に予算をお願いしておりまして、保育士が働きやすい環境整備を進めてまいりたいと存じます。 ◆山本正 委員  保育対策総合支援事業は、国が政策決定をして進んできています。県は、市町への分担補助として予算化していますが、保育士の業務負担の軽減について、しっかりと県内の現場の状況を把握していただき、滋賀の保育の魅力発信や離職防止につなげていただきたいと思います。  次に、同じく119ページの保育士笑顔サポート事業について伺います。  これは、新卒の就職促進や、潜在保育士の就職支援、そして、保育所と保育士のマッチング、また、現在勤務されている保育士の相談支援など、保育士・保育所支援センターの運営によって、保育士の安定的な確保を図るとされています。この事業における現状と課題を伺います。 ◎市川 健康医療福祉部長  令和3年12月時点におけます本県の保育士の有効求人倍率は2.75倍で、全業種の0.97倍を上回っておりまして、この倍率からも保育士が不足している状況が表れていると存じます。  市町からは、保育士不足が待機児童の発生要因の一つになっていると聞いておりまして、県といたしましても保育士確保が喫緊の課題であると認識しているところでございます。  このため、大津市と共同で保育士・保育所支援センターを設置いたしまして、職業紹介や就職フェア、潜在保育士向け相談会など保育士の就労支援に取り組みまして、令和3年度は、2月末日までに111人の就職に結びつけたところでございます。  保育人材の確保に当たりましては、引き続き支援センター事業を推進いたしますとともに、市町や保育関係者の皆さんと意見交換を行う待機児童対策協議会で検討しながら、実効性のある取組を進めてまいりたいと存じます。 ◆山本正 委員  この保育士・保育所支援センターですが、全てのこの保育士、保育所の関係者に活用してもらえるように、さらなる充実を図っていただき、保育人材の資質、専門性の向上、そして、より質の高い幼児教育、保育の提供を実現することによって、全県的な待機児童の解消につなげていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  次に、陶芸の森事業費におけるつちっこプログラムの予算について、部局別予算の概要135ページについて伺います。  つちっこプログラムは、小学校や特別支援学校への出前授業などにより、子供たちが信楽焼の作陶体験を通じて、本物の陶芸に触れたり、作家の方々のお話を聞いたりできるものです。  事業の位置づけとしては、陶芸の森事業費に含まれるものであると認識しており、つちっこプログラムにおいて、重要な役割を担う世界にひとつの宝物づくり実行委員会に係る経費もこの中で負担金として措置されているということです。予算となる金額は、年度によって違いますが、150万円から670万円と、かなりの違いがあったように聞いております。  昨年9月の代表質問で、このプログラムが存続すること、予算的に安定した事業になることを求めておりましたが、令和4年度の予算としてはどのような立ち位置、金額になっているのか、予算執行における体制や仕組みについて、商工観光労働部長に伺います。 ◎水上 商工観光労働部長  つちっこプログラムは、本物の陶芸を体験する機会を通じて、心豊かな人材の育成を図るものであり、このコロナ禍においても貴重な学習の機会として多くの申込みをいただいているところでございます。県としましても、大切な事業と認識をしておりまして、令和4年度予算におきましても、必要な経費を計上いたしております。  具体的には、このプログラムは、陶芸の森が実施する子どもやきもの交流事業実行委員会が実施する世界にひとつの宝物づくり事業の2つの事業からなっております。  子どもやきもの交流事業は、講師が学校等に出向いて行う出張授業が中心であり、世界にひとつの宝物づくり事業は、地元の陶芸家や企業など、様々な方々が参画する実行委員会が主体となって、陶芸の森での陶芸体験や園内見学を行う来園制作や、特別支援学級向けの出張授業などを行っております。  指定管理料とともに、この実行委員会に係ります県負担金といたしまして、300万円を予算計上しているところでございます。 ◆山本正 委員  この事業の目的、そして、これまでの効果について、再度商工観光労働部長に伺います。 ◎水上 商工観光労働部長  つちっこプログラムの事業の目的は、本物の陶芸を体験する機会を通じて心豊かな人材の育成を図るものであります。  プログラムを開始した平成14年から今年度までの20年間で、延べ14万人を超える方々に御参加をいただいております。多くの子供たち、障害のある方々にも多く御参加いただいており、モノをつくる喜びや感動を体験できたというお声をいただいているところでございます。 ◆山本正 委員  令和4年度にも、引き続きこのつちっこプログラムとして存続されたことは、喜ばしい限りです。関係者の皆様はじめ、現場の先生方や子供たちなど、多くの方が喜んでおられると思います。
     この事業は、現在まで地場産業、伝統工芸の担い手育てや魅力発信につながるものとして、商工観光労働部モノづくり振興課の中の陶芸の森事業費の範疇にあります。  今ほど聞いた事業の目的とこれまでの効果という観点からは、その範囲を超えて、大きな成果が出ているということです。  この事業につきましては、地場産業や伝統工芸の担い手問題としてのモノづくり振興課の予算だけではなくて、全国に誇る六古窯の信楽焼という文化としての文化スポーツ部や子供たちの体験学習としての教育委員会、そういった側面とも関連した予算になればと思います。  その結果として、より多くの子供たちに、また障害を持つ方々にもその魅力が伝わらないものかと考えます。  最後に、知事にお伺いしたいと思います。  小学生の体験学習であるうみのこ、やまのこ、たんぼのこなど、より多くの県民が触れることのできる全県的な教育プログラムのように、予算的にも安定した事業に進展できないか、つちっこプログラムの将来的な事業展開について、知事のお考えを伺いたいと思います。 ◎三日月 知事  このつちっこプログラムは、土という素材を用いて、ものをつくることの喜びや感動、本物の芸術を体感できる教育プログラムとして、地元の陶芸家の皆様をはじめ、多くの方々の御協力のもと実施されてまいりました。心から敬意を表したいと思います。  滋賀の教育大綱におきましても、陶芸文化を通した次世代の心豊かな人材育成として位置づけられておりまして、このコロナ禍におきましても、貴重な学習の機会として多くのお申込みをいただいているところでございます。  滋賀ならではの学びの貴重な機会といたしまして、地域の皆様とともに育ててきた事業でございまして、単なる陶芸体験を越えて、教育の面でも文化芸術の面でも意義深いプログラムとして定着しているものと認識しております。  今後も、全県的な広がりをもった事業として、継続的かつ発展的な運営ができるよう、様々な方々の応援もお願いしながら、県として必要な支援を続けてまいりたいと考えております。 ◆山本正 委員  一部の子供たちだけでなくて、全県的な子供たちに、この体験をしていただき、将来的に信楽焼の持つ、滋賀県の文化、そういったものの関係人口を増やしていきたい、また、ファンを増やしていきたい、いろいろな思いがありますので、ぜひともよろしくお願いいたします。  最後に、部局別予算の概要140ページ、中小企業働き方改革推進事業について、全て商工観光労働部長に伺います。  庁外の働き方改革ということで注目しています。中小企業者における計画的な働き方の改革を推進するとありますが、この場合の働き方改革とは、何を指しているのか、どのように行うのか、事業の内容を伺います。 ◎水上 商工観光労働部長  この事業をはじめ、県が推進する働き方改革とは、単に労働時間の削減や休暇の取得促進などにとどまらず、働く方がそれぞれの事情に応じた多様で柔軟な働き方を選択できる労働環境の構築を進めていこうとするものです。  そのことが企業にとっては魅力ある職場づくりや人材確保につながり、また、働く方にとりましては、就業機会の拡大や働きやすく意欲、能力を発揮し、活躍できる環境整備につながります。  特に、県内企業の99.8%、従業員数では84.3%を占めております中小企業において働き方改革を推進し、誰もが学び、成長し、活躍できる社会を構築していくことが重要であると考えております。  そのため、中小企業の人事、労務管理に携わっていただいている社会保険労務士の方々と連携し、県内企業に対して多様な働き方や働きやすい職場環境の整備に向けて、国、県の支援策や各種認証制度などを積極的に周知し、活用を促しますとともに、働き方改革への取組をこれから進めようとする企業に対しまして、プッシュ型で40件のサポート診断を実施し、実態に応じた具体の提案を行うことにより、働き方改革の促進を図ろうとするものでございます。 ◆山本正 委員  中小企業の多様な働き方、柔軟な働き方をできるように、そして魅力的な職場を作っていきたい。また、プッシュ型で40件ともおっしゃいました。どうか、ワーク・ライフ・バランス、長時間労働の是正、働き方改革に対する意識の醸成をお願いいたします。  また、新規事業、中小企業働き方改革推進事業、県庁内の取組から、県内の中小企業へと働き方改革の取組が、ようやく本丸に入ってきた感のある名称になっています。  しかし、いま一つ残念なのは、事業の主体が県ではないということ。労務士会が行うということでしたので、その事業への補助ということになっておりました。  そして、次に、中小企業の働き方改革を推進する事業ということで、県からこの滋賀県社会保険労務士会に補助して、今おっしゃいました40社くらいをヒアリング、診断をされるということですが、この事業の検証や期待される成果については、どのように考えておられるのか伺います。 ◎水上 商工観光労働部長  お尋ねの中小企業等を対象としたヒアリング、診断は滋賀県社会保険労務士会への補助事業として実施するものであり、働き方改革が十分進んでいない中小企業を掘り起こし、サポート診断を実施した上で、具体的な提案を行い、企業において計画的な取組を進めていただこうとするものでございます。  中小企業での働き方の現状、また、その現状に対して社会保険労務士がどのような提案をしたかを把握し、当該企業のその後の取組状況を調査することで、効果的な取組の実践につながっているかを検証してまいります。  40件の支援が本当に必要とされている中小企業に届き、その取組成果が広く横展開されるよう制度設計をしてまいりたいと存じます。 ◆山本正 委員  今、40件から横展開というお話がありました。ちょっと最後にお聞きしたいのですが、県下には3万社を超える、3万5,000近いと思いますが、3万社を超える中小企業があります。それに対して40社、あまりにも差異がありますが、どのようにして、県全体の中小企業に、この効果を波及させようとされているのか、商工観光労働部長に伺います。 ◎水上 商工観光労働部長  働き方改革を一部の企業の取組に終わらせることなく、幅広い県内企業、特に中小企業に広く波及させ、取組を促進していくことが重要であると認識しております。  このため、先月、滋賀県社会保険労務士会、滋賀労働局および県の3者で、働き方改革の推進に関する連携協定を締結し、中小企業等における働き方改革の推進に向けた連携体制を強化したところでございます。  県内企業の人事、労務管理に深く関わっていただいております社会保険労務士の方々と連携し、補助事業として実施するプッシュ型企業診断の取組を広く横展開していただくことを想定しております。  また、あわせまして、国、県の様々な支援施策や女性活躍推進企業認証制度、ワーク・ライフ・バランス推進企業登録制度などにつきましても個々の企業に直接届け、専門家としてのスキルを生かした実践的なアドバイスをしていただくことを考えております。  県内企業における働き方改革の機運を高め、広く企業現場で実際の取組が促進されるよう、滋賀労働局とも連携をしながら取り組んでまいりたいと存じます。 ◆山本正 委員  何はともあれ、こうやって進んできた、そして、3者で連携協定をされるということですので、期待を寄せたいと思います。  ただ、少し気になるのは、労務士さんの日常業務というのは、ほとんどが経営者側の仕事が多いのではないかと思います。この事業を行うに当たって、経営者と労働者側という観点が少し抜けているかもしれない。そしてまた、答弁にもありましたが、本当に必要とされる企業に届くのかという点、40社から3万5,000近い、この中小企業への横への広がり、そのこと、また、この事業名が、新規事業として、中小企業の働き方改革推進事業です。今回の予算、ぜひこの有効に執行していただきまして、次年度以降の大きな展開に資することを期待いたしまして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。委員長、終わります。 ○奥村芳正 委員長  以上で、山本正委員の質疑を終了いたします。  しばらくそのままでお待ちください。  次に、大橋通伸委員、待機席へお願いします。  それでは、大橋通伸委員の発言を許します。 ◆大橋通伸 委員  教育に係り、4項目にわたって質問します。  御答弁は、全て教育長にお願いします。  1つ目は、教職員給与費についてです。  部局別予算の概要221ページからです。令和4年度は総額で1,117億8,842万円余が計上されました。新年度予算の人件費総額の7割近くを占める大きな予算です。さて、来年度の教職員定数は全体で49人増であるにもかかわらず、今年度の当初予算1,140億2,584万円余に比して22億3,742万円の減額となっております。説明を求めます。 ◎福永 教育長  委員御指摘のとおり、定数増分については増額となっておりますものの、一方で、期末手当につきましては、給与改定による年間支給月数の減、退職手当につきましては、退職者数見込みの減、そして、教職員のいわゆる新陳代謝、若返りによる減などによりまして、教職員給与費全体としては減額となっているところでございます。 ◆大橋通伸 委員  来年度の教職員定数は全体で1万2,231人としています。定数の解釈を伺います。 ◎福永 教育長  教職員定数につきましては、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校ともに、学級数に応じて算定されます基礎定数と、学校諸課題への課題解決のために措置される加配定数分の合算により算定いたしているところでございます。 ◆大橋通伸 委員  教職員給与費のうち、条例定数以外の県単独予算による臨時講師および非常勤講師の人数をお示しください。 ◎福永 教育長  条例定数以外の県単独予算の臨時講師につきましては、小学校が68人、中学校が32人、高等学校が51人、特別支援学校が20人、合計で171人でございます。  また、非常勤講師につきましては、小学校が540人、中学校が366人、高等学校が135人、特別支援学校が52人の合計1,093人でございます。 ◆大橋通伸 委員  私、今年で65歳になりますが、教員時代の同年や少し年下の後輩が、臨時講師として定年後も経験とスキルを生かして活躍してくれています。また、新採を目指し活躍している若年の臨時講師もいます。児童生徒の成長にとって意味ある臨時講師であると思っております。  臨時講師の平均給与月額は、正規教員の平均給与月額と比べて幾ら違うのか伺います。 ◎福永 教育長  小中学校と県立学校、高等学校、特別支援学校で異なりますので、それぞれお答えいたします。  まず、小中学校等教職員給与表が適用されます臨時講師の平均給与月額は31万5,936円、正規の教員の方は38万3,063円となっておりまして、その差は6万7,127円でございます。  また、高等学校等教育職給与表が適用される臨時講師の平均給与月額は32万6,830円、正規教員は41万6,771円となっておりまして、その差は8万9,941円となっております。 ◆大橋通伸 委員  少人数学級編制の実施について伺います。昨日の黄野瀬委員の質問内容と一部重なります。  令和4年度は、小学4年生以上の全ての学年で35人学級編制を可能とする現行の制度を維持するとしていますが、小学1年生から小学3年生まではどうなのか説明を求めます。 ◎福永 教育長  義務標準法の改正によりまして、来年度、令和4年度は、小学校1年生から小学校3年生までは国の標準で35人学級編制となるため、これに係る教員数分は国の基礎定数で措置されているところでございます。 ◆大橋通伸 委員  では、令和4年度の小学4年生から中学3年生までの少人数学級編制に係る人的措置は、どのようにされているのか伺います。 ◎福永 教育長  先ほどお答え申し上げました小学校1年生から小学校3年生とは異なりまして、小学校4年生から中学校3年生までの国の学級編制の標準が40人でありますが、本県は御承知のとおり35人学級編制としておりますことから、これに必要な教員数313人は、国の加配261人に県単独の加配52人を加えて対応いたしているところでございます。 ◆大橋通伸 委員  令和4年度の小学校の専科指導教員の配置について伺います。 ◎福永 教育長  まず、英語の専科指導教員につきましては、各学校の希望状況や市町間のバランス等を考慮して配置をしているところでございます。  また、来年度から本格導入されます高学年専科指導教員につきましては、大規模校と比べまして学級担任外の教員が少ない中規模校にまず優先して配置を行いまして、次年度以降順次拡大をしていきたいと考えているところでございます。  あわせまして、小学校5年生、6年生が共に単級――1クラスである小規模校におきましては、非常勤講師の配置を行わせていただく予定でございます。 ◆大橋通伸 委員  教科担任制の推進に向けて、どう考えているのか伺います。 ◎福永 教育長  教科担任制の導入によりまして、小学校の子供たちにとって、専門的なより質の高い授業を受けることで、理解度の向上が期待できると考えております。また、中学校から本格的に始まります教科担任制への円滑な順応の効果もあると考えているところでございます。  また、学校運営につきましては、複数の教員による児童観察による子供の見取りの深まり、また教員の負担軽減等の効果も期待できるところでございます。  本県におきましては、こうした効果が各学校で十分発揮されますよう、市町の教育委員会と連携いたしまして、取組の充実を図ってまいります。 ◆大橋通伸 委員  令和4年度から高等学校に情報Ⅰが導入されます。これに伴う専門教員の採用についてお示しください。 ◎福永 教育長  高等学校におけます情報教科の専門教員の採用につきましては、今年度実施いたしました教員採用試験において3名を採用したところでございます。  引き続き、各高等学校でのニーズを踏まえまして、情報を専門とする教員の採用に努め、適切に配置をしてまいりたいと考えております。 ◆大橋通伸 委員  県内での地域間格差、高校間格差が生じないよう御努力願います。新年度の高校1年生は、大学入学共通テストで情報Ⅰに立ち向かいます。  次に、教員業務支援員、いわゆるスクール・サポート・スタッフについて伺います。  このコロナ禍の2年間にあって大幅に増員されました。令和4年度は、小中学校に1億4,716万円余が計上されています。多様な人々が学校に関わる点でもよい制度だと思っています。このスクール・サポート・スタッフの配置基準、人数、予算をお示しください。 ◎福永 教育長  教員業務支援員、いわゆるスクール・サポート・スタッフの配置基準につきましては、6学級以上の全公立学校に配置をいたしまして、加えまして、令和4年度につきましては、週当たり勤務時間を15時間から18時間に増やしたいと考えているところでございます。
     配置人数につきましては、小学校に208人、中学校に87人、高等学校に47人、特別支援学校に28人の合計370人の配置を予定しております。  令和4年度の予算案といたしまして、小学校分が約1億500万円、中学校分が4,500万円、高等学校分が約3,900万円、特別支援学校分が約2,300万円の合計約2億1,200万円をお願いしているところでございます。 ◆大橋通伸 委員  2つ目に移ります。部活動指導員配置促進事業について伺います。  部局別予算の概要224ページ、237ページ、ならびに238ページに掲載です。  まず、この事業の趣旨を伺います。 ◎福永 教育長  答弁を前田保健体育課長に委任いたします。 ◎前田 保健体育課長  本事業につきましては、部活動指導員の専門的な指導により、生徒の意欲や技能の向上を図るとともに、部活動顧問教員の負担軽減など教員の働き方改革を推進するため、市町立中学校ならびに県立学校に部活動指導員の配置を進めるものでございます。 ◆大橋通伸 委員  県立学校にあっては、運動部で1,449万円余、文化部で534万円余が計上されています。中学校には、市町への補助として1,344万円余が計上されています。様々な事情があってのこととは拝察いたしますが、少額という印象を拭い切れません。  令和4年度の配置人数ならびに配置先の考え方について伺います。 ◎福永 教育長  答弁を前田保健体育課長に委任いたします。 ◎前田 保健体育課長  令和4年度、県立学校は、中学校2名、高校運動部35名、高校文化部13名、また市町立の中学校は、全体で60名の予算をお願いしているところでございます。  配置の選定に当たりましては、県立学校については、各校からの申請を受け、専門的指導をできる教員がなく、教員の負担を軽減する効果が大きい部活動に配置することとしております。  また、市町立の中学校については、市町教育委員会からの申請に基づき助成しており、今年度の実績から令和4年度も各市町の申請を反映できると見込んでいるところでございます。 ◆大橋通伸 委員  この事業に係る課題を伺います。 ◎福永 教育長  答弁を前田保健体育課長に委任いたします。 ◎前田 保健体育課長  本事業により教員の負担軽減が浸透しつつあり、年々配置希望が増加傾向にあります。  しかしながら、学校からは、部活動指導員の人材が不足していることや、指導内容をより充実したいため、十分な時間外の削減に結びつかない事例もあると聞いており、これらのことが主な課題と認識しているところです。  今後は、教員のOBの方をはじめ、大学生等にも対象に広く声かけを行うなど人材確保を図るとともに、学校現場に対しては指導内容の一層の工夫に取り組むよう働きかけることにより、より効果的な配置に努めていきたいと考えております。 ◆大橋通伸 委員  3つ目に移ります。380万円が計上されている教職の魅力発信事業について伺います。  部局別予算概要220ページです。  近年の採用倍率は低下傾向にあり憂慮しています。小学校では、今年度2.7倍、5年前の平成29年度は3.4倍でした。中学校では、今年度4.4倍、5年前の平成29年度は5.8倍でした。  そこで伺います。この事業は、滋賀で教師をする魅力を効果的に発信するとしていますが、ここで言う魅力とは何ですか。 ◎福永 教育長  滋賀の教員を志望する方を一人でも増やして、優秀な人材を将来にわたって継続的に滋賀県に確保していくため、この教職の魅力発信事業では、教職のやりがいや滋賀ならではの教育活動、また本県での暮らしやすさや働きやすさ、こういったことを滋賀で教師に就くことの魅力として、工夫を凝らしながら積極的に情報発信していきたいと考えております。  若い先生方からは、子供たちの笑顔や成長が間近で見られることに喜びを感じている、また若手の栄養教諭からは、滋賀ならではの豊かな食材で献立を考えたり、それらを教材に学習をどう組み立てると子供たちの学びが深まるのか考えたりすることが、とてもやりがいがあるというお声を聞いているところでございます。  また、滋賀県以外、他府県出身の先生方からは、自然や歴史遺産が豊かで教材が豊富であるところ、都会にはないのどかで住みやすい環境である、地域の人たちの温かく親切なところなどが滋賀のよさであるという感想をいただいているところでございます。  さらに、先生方の実践上の悩みや課題も、教職員のつながりの中で解決ができているというお声もございまして、このような魅力を県教育委員会として、動画やパンフレットなどを通じて広くアピールしてまいりたいと考えております。 ◆大橋通伸 委員  魅力アップには、もとより教員の質を保障していくのには、給与の改善が欠かせません。御見解を伺います。 ◎福永 教育長  御承知のとおり、教職員の給与は、人事委員会勧告や関係法令等を踏まえて決定されるものでございますが、教職員に限らずどんな職業におきましても、給与等の処遇につきましては、職業選択の際の一つの要素であると考えております。  県教育委員会として、今後とも教職員の処遇改善に努めてまいる所存でございます。 ◆大橋通伸 委員  最後に4つ目です。一人ひとりの学び最適化プロジェクトについて伺います。  部局別予算の概要228ページです。  学習歴の蓄積や学習支援ソフトウエアの導入活用により、子供一人一人の学びの伸びを客観的に経年で把握できるとするこのプロジェクトには、1,052万円余が計上されています。積算根拠をお示しください。 ◎福永 教育長  滋賀の子供たちの学ぶ力の向上の取組というのは、まさに喫緊の課題であると認識いたしております。  御質問の一人ひとりの学び最適化プロジェクトは、小中学生を対象に、モデル校におきまして、子供一人一人の学びの毎年度の伸びを経年的に把握する調査を実施いたしまして、各学校での学ぶ力向上の取組を支援していくものでございます。  このプロジェクトの予算の積算といたしましては、調査実施の委託料として1,014万2,000円、指導主事の先生方の学校訪問のための旅費として27万5,000円、モデル校の消耗品等のための需用費とし11万円を上げさせていただいております。 ◆大橋通伸 委員  このプロジェクトはモデル事業と伺っておりますが、このプロジェクトを実施した後、県内の小中学校にどのように広めていこうとお考えですか。 ◎福永 教育長  先ほどお答えをさせていただきましたように、このプロジェクトにつきましては、調査を経年的に行うということを予定しております。このプロジェクトを通しまして、子供たちの学びがどのように伸びていくのか、そして、どのような事業改善や学級経営を行えば効果的なのかについて、その手法をしっかりと取りまとめていきたいと考えております。  そして、その取りまとめた成果を学校訪問や研修等で紹介いたしまして、さらにはICTも活用しながら、各学校および市町の教育委員会に情報発信してまいる所存でございます。  これによりまして、本調査の有用性を市町、各学校に伝え、モデル校での取組が県内に広がっていくように努めてまいる所存でございます。 ◆大橋通伸 委員  このプロジェクトには、外部の専門支援人材を配置はしないのですか、伺います。 ◎福永 教育長  本プロジェクトにつきましては、外部の事業者に子供たちの学びの状況を調査する業務を委託させていただく予定をしております。委託業務には、問題の作成、採点、集計、分析などがございますが、事業者が直接学校に行って業務を行うということはなく、外部の専門支援人材を各学校に配置することはないと考えております。県教委の指導主事が訪問して対応させていただくということでございます。  なお、各市町におきましては、GIGAスクール構想を推進するため、現在、各市町のほうでICT支援員等の外部人材の配置は行われているところでございます。 ◆大橋通伸 委員  これに関連して、部局別予算の概要219ページにある県立学校ICT環境整備事業では、支援人材の配置とあります。この場合の支援人材の業務内容をお示しください。 ◎福永 教育長  県立学校におけますICT機器の運用管理および運営支援を行うために、GIGAスクール支援センターを設置いたしまして、スキルの高い支援員が、電話、メール、ウェブ会議システム等で日常的に教員の相談を受け付けますとともに、ICT支援員が各学校を定期的に巡回いたしまして、相談対応および利用支援を行うことを予定しております。 ◆大橋通伸 委員  このプロジェクトではCBT――コンピュータ・ベースド・テスティングを活用するとのことです。いかなるものか説明を求めます。 ◎福永 教育長  コンピュータ・ベースド・テスティング――CBTとは、コンピューターやタブレット端末を利用いたしまして、マウスやキーボード、タッチパネル等を使って解答するテストや調査のことでございます。  本プロジェクトにおきましては、このCBT化により子供たちが調査結果を速やかに把握し、学びの伸びを実感できますとともに、教員も子供たち一人一人に応じた指導に活用できるものと考えているところでございます。 ◆大橋通伸 委員  利点をお示しいただきましたが、このプロジェクトを進めることにより、学校がIT企業や教育企業にのみ込まれていかないか、教職員が隅に追いやられていかないか、私の心配は当たりませんか。 ◎福永 教育長  本プロジェクトでは、委託業者を活用することによりまして、データに基づく客観的な分析を行いまして、効果的に子供たちの学びの状況を把握することが可能となりますが、学校教育におきましては、ICTを活用するだけでなく、これまでの児童生徒同士の対話、話合いや教員の対面による指導、これを引き続き大切にしてまいりたいと考えております。 ◆大橋通伸 委員  IT企業や教育企業が入手することで、児童生徒の個人情報、能力情報がまた丸裸になる行く末を懸念しています。私の懸念は当たりませんか。 ◎福永 教育長  本プロジェクトでは、子供たちの学習データをICTの活用によりまして効果的に収集、分析できる一方で、御質問にありましたように、委託事業者が子供たちの学習状況の個人情報を扱うことともなります。  そのため、県教育委員会といたしましては、委託事業者が取得した個人情報が本プロジェクト以外には利用されないよう、契約時に明確に定めますとともに、それが守られているか、しっかりと確認を行ってまいります。 ◆大橋通伸 委員  この類いの事業は、他府県ではどのように進められていますか、伺います。 ◎福永 教育長  現在、国におきまして、オンライン上で学習や評価ができる文部科学省版CBTシステムを開発し、学校における活用を推奨されております。  また、全国学力・学習状況調査のCBT化に向けまして、モデル校におけます試行、検証にも取り組まれているところでございます。  全国の都道府県におきましては、このような国の動きに合わせまして、個別最適の学びの充実に向けたCBTシステムの活用が始まっている都道府県もございまして、本県としてもこうした取組に遅れることなく、しっかりと取組を進めてまいりたいと考えております。 ◆大橋通伸 委員  子供一人一人の学びの最適化については、部局別予算の概要225ページ掲載の高等学校教育振興費には、「読み解く力」をもとにした一人ひとり学び最適化プロジェクトとして264万円が計上されていますが、小中学校における取組と同様のものと考えていいのか、伺います。 ◎福永 教育長  ある意味、子供たち一人一人の学びの最適化という点におきましてはですね、同じような取組を進めることになろうと思いますが、高等学校におけるこのプロジェクトでは、生徒一人一人が様々な課題を自分なりに解決できるように、学習記録を蓄積、評価、利活用するなど、ICT機器を効果的に活用し、生徒の個別最適な学びを推進してまいります。  また、ICTコアティーチャーを選出をいたしまして、タブレット等を効果的に活用し、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた教科指導のモデルとなる授業づくりの研究を進めますとともに、モデル授業を全県に公開し、研究成果の普及に努めてまいりたいと考えております。 ◆大橋通伸 委員  部局別予算の概要230ページ掲載の特別支援教育の視点に立った「個別最適な学び」推進事業としても、310万円が計上されています。小中学校における一人ひとりの学び最適化プロジェクトとの共通点と相違点をお示しください。 ◎福永 教育長  まず、共通点でございますが、子供一人一人に焦点を当て、それぞれの学びに応じましてICT機器等を効果的に活用した指導、支援を行う取組というのが共通点であろうと考えております。  次に、相違点でございますが、本事業では、小中学校の通常の学級におきまして、発達障害等により学びにくさのある児童生徒に対しまして、個別の指導計画を中心に置いた教科指導の実践を、PDCAサイクルにより進めるものでございまして、これらの取組を通じまして、自分に合った学び方が分かり、主体的に学習に取り組む子供の育成を目指すものでございます。 ◆大橋通伸 委員  委員長、終わります。 ○奥村芳正 委員長  以上で、大橋通伸委員の質疑を終了します。  しばらくそのままでお待ちください。
     次に、松本利寛委員、待機席へお願いします。  それでは、松本利寛委員の発言を許します。 ◆松本利寛 委員  予算に関する説明書、ページ、91、92の文化財保護費及び文化財保存修理費について伺います。  知事と文化スポーツ部長に伺います。  明日、比叡山根本中堂の解体修理の現地見学会が開催をされるそうであります。県内には、こうした世界遺産や国宝以外に地域に埋もれた貴重な文化遺産や資源が存在をします。ところが少子高齢化や人口減少によって過疎化が進行し、今まで地域の中で人の支え合いによって守れてきた歴史的、文化的な遺産や財産が毀損をしたり、散逸をしたりする事例が増えています。  (資料掲示)お手元にもありますが、この写真は湖東地域の荒廃寺院の写真です。無住職です。檀家もありません。かつては、地域の住民の皆さんの奉仕で支えられてきましたが、現在、屋根が崩れ、文化遺産など、風雨にさらされ放置すれば建物自体が崩壊します。この寺院には市町が編さんされた史誌で紹介をされる仏像が安置をされています。  県が昨年改定をした文化財保存活用大綱にも、文化財の滅失や散逸、変容等が深刻かつ近々の課題になりつつあり、地域によって支えられてきた本県の文化財の特徴を今後も保持していけるのかが大きな課題となっているとしています。  平成30年に文化財保護法が改正され、地域に埋もれた文化財の調査や保存に係る体制が見直されました。その概要について文化スポーツ部長に伺います。 ◎中嶋 文化スポーツ部長  平成30年の文化財保護法改正では、県は文化財の保存および活用に関する総合的な施策の大綱を定め、市町は大綱を勘案して、区域における文化財の保存および活用に関する総合的な計画としての文化財保存活用地域計画を作成することができるというふうにされたところでございます。  県は、大綱に基づき、域内全体の基本的な考え方や方針を提示し、複数の市町にまたがる取組を行います。  また、市町は地域計画に基づきまして、未指定文化財を含めた多様な文化財を総合的に調査、把握した上で、まちづくりや観光などの行政分野とも連携し、総合的に文化財の保存、活用を進めていくというふうにされております。 ◆松本利寛 委員  文化財の保存や保護に関わる県と市町との役割、それから連携について文化スポーツ部長に伺います。 ◎中嶋 文化スポーツ部長  文化財は、守り伝えられてきた地域で保存し、活用が図られることが最も望ましいことから、文化財やその所有者等に身近な存在であります市町において、地域住民と緊密に連携し、消滅の危機にある文化財の掘り起こしを含め、地域一体で計画的に保存と活用に取り組んでいくことが極めて重要とされています。  県におきましては、広域的な情報や専門的な見地から、国や専門家などとも調整を図りまして、市町に対し、その地域の特性に応じた技術的な助言や情報共有を行っているところでございます。 ◆松本利寛 委員  県が文化財保存活用大綱を定めて、市町が文化財保存活用地域計画を定めるということになっていますが、現在、この市町の文化財保存活用地域計画の策定状況について文化スポーツ部長に伺います。 ◎中嶋 文化スポーツ部長  県内では、これまで長浜市、近江八幡市、草津市、守山市、甲賀市、高島市、多賀町の6市1町の地域計画が国の認定を受けております。現在、栗東市、東近江市、米原市の3市で作成中でございます。また、令和4年度からは新たに日野町が策定に取り組まれるところでございます。  この地域計画は、未指定を含めた多様な文化財を総合的に把握し、それらを一体的に保存、活用することで、確実な文化財の継承につなげることを目的に策定されるものでございます。 ◆松本利寛 委員  県の文化財保存活用大綱にもですね、県下の文化財の状況が網羅的に把握できてるというわけではないと、過去の調査から長い年月が経過して、最新の情報が反映されていないと、地域計画に基づく新たな視点で、次世代に継承するべき文化財を悉皆的、総合的に把握する調査などは、まだ十分に行われていないとされています。  冒頭、私が掲示をさせていただいた、地域に存在する未調査や未登録の文化財等の調査状況について、どのようになっているのか文化スポーツ部長に伺います。 ◎中嶋 文化スポーツ部長  未指定の文化財は様々な種類や在り方がございまして、それら全体の把握はなかなか難しいと考えております。  今後、市町による文化財保存活用地域計画の策定の段階や、その後の取組によりまして把握調査が進み、地域にとって大切な文化資産がより多く見いだされるものと期待をしているところでございます。  その中で、重要なものについては、詳細調査が進められ、必要に応じて国や県が専門的な支援を行い、その価値を明らかにすることとしております。 ◆松本利寛 委員  冒頭、写真で示させていただいたような、荒廃の危機にあるような、そういうふうな事例の把握についてはどうでしょうか。文化スポーツ部長に伺います。 ◎中嶋 文化スポーツ部長  現在、県としまして、今ほど御提示いただきました事例を含め、同様の事例の把握はしておりませんが、所有者や市町、関係者などから、個別に御相談をいただいた場合には、適宜、実情を把握し、状況に応じた対応をさせていただきたいと考えております。 ◆松本利寛 委員  こういった事例は時間との闘いの部分があります。改めて早急にやる必要があると。ただ、これを調査をした後、文化財や地域の歴史的、文化的な資産の保存の方法について、どのように行われるのか、文化スポーツ部長に伺います。 ◎中嶋 文化スポーツ部長  詳細な調査を終え、価値が明らかになった重要な文化財については、文化財保護法や県、市町の文化財保護条例に基づく文化財指定等による保存が検討されることとなります。  指定等された文化財の所有者は、保存修理や防災事業などに対する財政支援を得られることになります。  一方、それ以外の文化財については、財政支援がないものの、民間団体による助成制度やクラウドファンディングなどを活用して、保存事業を進めている事例もございます。 ◆松本利寛 委員  そうした場合にですね、この市町の役割と、県の役割はどういった役割になっているのか、文化スポーツ部長に伺います。 ◎中嶋 文化スポーツ部長  地域の歴史的、文化的資源の保存につきましても、市町において、その把握を行い、地域の資源としての保存について検討することが重要でございます。  県におきましては、市町と情報を共有し、地域の特性に応じた技術的な助言や指定等による保存の措置を講じているところでございます。 ◆松本利寛 委員  地域に埋もれた存続の危機にある文化的、歴史的遺産や、支援に対する調査、保存に係る責任を負うのが、基本的には市町の文化担当部署だというふうに思うんですが、今回の提示した荒廃寺院の調査にも関わってもらいましたが、市町の職員さんも専門職員が圧倒的に少ない、調査が難しい、特に美術工芸の専門家がいないなどとおっしゃっていました。  そこで新たに建設する新・琵琶湖文化館が3つの性格を担い、市町村と連携して地域で大切にされてきた近江の文化財の保存活用を支援するなど、文化財保護行政の一翼を担う構想を示されました。具体的に何をどう担うのか、文化スポーツ部長に伺います。 ◎中嶋 文化スポーツ部長  (仮称)新・琵琶湖文化館につきましては、近江の文化財を保存、継承、活用、発信する拠点として、博物館本来の収蔵や展示に加えまして、地域の文化財の保存、活用について所有者や市町等を支援する地域の文化財のサポートセンターと、来館者を県内各地へいざなう文化観光の拠点となるビジターセンターという3つの機能を持つ施設としております。  この中で、地域の文化財のサポートセンターとしましては、具体的には、文化財の保存に関する専門的な人材を確保し、市町と連携し、文化財の保存環境の整備や日常管理の方法等、地域の文化財を地域で守るための技術支援や人材育成、相談を行うこととしております。 ◆松本利寛 委員  次の質問も答えていただいたような気もするんですが、地域の文化財のサポートセンターの具体的な構想についてですね、人員の体制とか、あるいは財政的な措置とか、市町との連携とか、もう少しそこを詳しく、構想の段階だと思うんですが、示していただければいうふうに思います。 ◎中嶋 文化スポーツ部長  先ほど申しましたように、新しい琵琶湖文化館の機能につきまして、地域の文化財をサポートするといった面で、例えば、先ほどからございますように地域で守れなくなってきたものをどういうふうに守っていくかといったこと、あるいは災害でですね、一時的に避難をさす文化財、そういったものを取り扱うといったことも考えております。  先ほど申しましたように、保存の環境というのが大事でございますので、そうした人材を確保しまして、日常での管理あるいは、こういった形でこういう文化財を保存していくというふうな指導を行う、あるいは、このデジタル化する、そういうふうな専門の人材等も必要になってくると思いますので、そういった人材を確保しながら、市町あるいは所有者の方の相談に応じていきたいというふうに考えております。 ◆松本利寛 委員  滋賀県の文化財の存在というのは、日本でも有数の地域です。今まで、地域の人々に守られてきた歴史的、文化的な遺産や財産が毀損したり、散逸したりする事例が、今後さらに増える可能性があります。県が策定した文化財保存活用大綱にも文化財は一度失ってしまえば二度と取り戻すことができない。伝承し続けなければ失われていく。本県の特徴である、地域に根づく文化財がより多くの人に伝えられながら、守られていく姿を滋賀ならではの文化財の保存と活用の好循環として位置づけたくさんの人々と連携することにより、継承を図っていくことが重要だと考えると記載されています。  そこで、冒頭掲示資料で示したような地域実態を踏まえ、地域に残るまた毀損の危機や散逸の危機にある歴史的、文化的遺産や財産をいかに保存、継承するのか、具体的な対策について、知事に伺います。 ◎三日月 知事  私も、過疎化や少子高齢化等の社会状況の変化を背景に、地域の歴史的、文化的遺産や資源の滅失、散逸等の防止が緊急、喫緊の課題であると認識しております。  県では、大綱におきまして、地域の文化財の保存、継承を所有者や伝承者、管理団体、市町だけでなく、地域全体で支え合う仕組みづくりが必要としたところでございます。  新しい琵琶湖文化館におきましては、地域の文化財のサポートセンターとしての機能を備えるとともに引き続き市町や所有者に対して専門的な立場から技術的な助言を行うなどの支援に努めてまいりたいと存じます。 ◆松本利寛 委員  写真で掲示した中に仏像があります。この仏像をどうするのかというのも地域で今相談をしておられます。移設する、地域の公民館に安置をする、そうした場合でもその方法や手法について、皆さん地域の人ですから、なかなかどうしたらええのか分からない、経費がかかります。  そうした具体の問題について、やっぱりサポートし、財政的にも支援できるね、仕組みをやっぱり県として、市町と協働してつくる必要があると思うんですが、改めてこういう具体の問題について、知事に再度伺います。 ◎三日月 知事  大事な問題であると同時に、難しい問題だと思いますね。今も御紹介いただいたようにまずはその地域の方々が、地域にあるお寺や仏様をどのようにお守りなさるのか、これをやっぱりみんなで考えるところから、話し合っていただくことが、まずスタートだと思います。  その際に、例えば、どういった価値があるのか、どういった技術的な課題があるのか。それらにつきまして、県なり市町が持っている知見をしっかりとお届けして、一緒に考えていくという、こういう体制をつくることが必要だと思いますし、それらに資金、費用がかかるということであるならば、それらをどう工面するのか。もちろん指定文化財等、公的に一定支援する仕組みもございますが、民間でも様々な資金援助の組織や団体基金等もあるようでございますので、あらゆるものを活用しながら、そういったものを合意形成されたものを守り伝えていくという取組をしっかりとやっていくということだと思います。  委員がおっしゃったように、一度なくなったら、取り返しがつかないという視点でありますとか、やはり、保存なくして活用なしと、保存されなければ活用できないといったようなことも大事だと思いますので、県もしっかりと、そういった観点で関わっていきたいというふうに思います。 ◆松本利寛 委員  市町の担当者も悩んでいるんですね、市もどうしようもできないと、さりとて地域に任せっきりというわけにもいかない、ここのマッチング、どういうふうに調整をしていくのか、財政的な支援も含めて、ぜひ新しい文化館の中でそういうセンターができるんですから、地域への支援も含めて十分に強化していただきたいというふうに思います。  次に、部局別予算の概要、155ページの環境こだわり農業推進事業費について、全て農政水産部長に伺います。  滋賀のコシヒカリが特Aのランクを獲得されました。関係者の皆さんの並々ならぬ努力に敬意を表したいというふうに思います。  しかし、この特Aというのはチーム力で、みんなが力を合せて山の頂上に至ったという取組なんですが、今後、さらに滋賀の米作りの裾野をどう強化をするかという視点から、ぜひ、さらなる御努力をお願いをしたいというふうに思います。  そこで、まず環境保全型農業の直接支払交付金について、県が設定されている水稲栽培の地域特認取組の実施状況について、農政水産部長に伺います。 ◎西川 農政水産部長  令和3年度の環境保全型農業直接支払交付金の実施見込みでございますが、1万2,738ヘクタールとなっておりまして、このうち地域特認取組は1万1,391ヘクタールで、全体の89%を占めてございます。  このうち、総合的な病害虫雑草管理を行いますIPMの実践、そして畦畔の人手除草、長期中干しの組み合わせをする取組が5,801ヘクタールで、全体の45.6%でございます。また、緩効性肥料と長期中干しの組み合わせを行います取組が5,044ヘクタールで39.6%、この2つの取組の合計で85%を占めます。  この令和3年度の実施見込みに係ります国からの交付金の総額は、2億7,237万8,100円、そのうち地域特認取組は2億3,002万3,350円で、全体の84%でございます。 ◆松本利寛 委員  この地域特認取組の設定項目について、環境保全にどのような効果があるのか、また、環境保全にどう資しているのかなど、特認取組の設定の仕方について、部長に伺いたいというふうに思います。 ◎西川 農政水産部長  地域特認取組は、地域の環境や農業の実態を勘案して、国の承認を得て、県で設定する仕組みでございます。  この国の承認を得ますためには、環境保全効果や追加的な経費など、農業経営の影響およびこれを踏まえた交付単価等につきまして、国の技術検討会において承認される必要がございます。  本県におきましては、県内で広く取組が可能な長期中干しを軸に、水質保全効果の高い緩効性肥料の利用との組み合わせや、温暖化防止の効果の高いIPMの実践、畦畔の人手除草との組み合わせなど、併せて12の取組について、国の承認をいただいてございます。 ◆松本利寛 委員  この地域特認の取組の交付金の単価が数千円でいろいろばらつきがあるんですが、この単価の設定はどういうふうにして算定されているのか、部長に伺います。 ◎西川 農政水産部長  環境保全型農業直接支払交付金は、環境保全効果の高い取組の実施に伴うかかり増し経費につきまして、支援をするものでございます。  それぞれの取組の資材費や労務費といったかかり増し経費を基に、県で算出した交付単価を国に承認をいただいて決定しているものでございます。 ◆松本利寛 委員  さらに、その中身ですね、通常の栽培方法より、今、部長が言われたように、より労力を要するとか、あるいは資材の投与がさらに必要であるとか、そういうケースになると思うんですが、取組に対するコスト増や困難がありますが、これらをどのようにして、交付の単価に反映されているのか、取組項目の、また間の均衡をどのように図られているのか、部長に伺います。 ◎西川 農政水産部長  交付単価はかかり増し経費分を支援するものでございまして、通常よりも資材費がかかる取組や、追加の作業がより多く発生する取組につきましては、単価が高くなるという構造でございます。  例えば、冬に水をためます冬期湛水管理の取組に当たってはですね、有機質の肥料などの追加として必要になる資材費でありましたり、あぜ、畦畔の補強に係る労務費などが含まれます。  また、畦畔の人手除草におきましては、例えば、草刈り機の燃料費や労務費など、通常に比べて経費がかかる金額がこの算出根拠となっているものでございます。 ◆松本利寛 委員  それから、もう1点、特認取組の先ほど金額を2億3,000万円というお話ありました。この総額はどういうふうにして、国との間で決定されるのか、その仕組みについて部長にお伺いします。
    ◎西川 農政水産部長  地域特認取組に関する交付金の配分につきましては、国において、予算の範囲内でまず各都道府県の全国共通取組について優先的に配分をされまして、残った金額から、各都道府県の要望額、また過去の実績に基づいて配分をされるという仕組みになってございます。 ◆松本利寛 委員  この枠の拡大について、ぜひ努力していただきたいし、交付単価についても、全体の均衡を含めて、それぞれ努力いただいている分、引上げについてもですね、努力いただきたいというふうに思います。  次の問題として、先ほど、部長おっしゃった冬期湛水管理とメタン発生を抑制する乾田化のCO2対策、それから窒素やリンの流出を抑制する緩効性肥料の飼料とプラスチック殻の発生、それから、残留農薬に対する使用者意識の高揚と、ネオニコチノイド系農薬の使用など、オーガニック農業や環境保全型農業の推進上、相反する、矛盾する課題が存在しますが、これらの諸課題の整合性を今後、どのように図られるのか、農政水産部長に伺います。 ◎西川 農政水産部長  環境保全型農業直接支払いの交付金につきましては、基本は地球温暖化防止と生物多様性保全の高い取組を支援するという制度でございます。  一方、国の環境保全型農業直接支払制度に関する第三者委員会におきまして、例えば、地球温暖化防止に効果がある長期中干しは、通常よりも水田に水がない期間が延長されますことから、生物多様性にはマイナスの効果となり得る取組もあることが指摘をされているというふうに承知をしております。  こうしたことから、今後、国ではこの第三者委員会において、環境保全効果のトレードオフの可能性と解決策について、検討、評価が行われるものと伺っております。  本県におきましても、こうした国の検討会の報告などの情報収集にも努めながら、環境保全効果の高い取組を進めてまいりたいというふうに存じます。 ◆松本利寛 委員  環境保全型農業を推進し、環境こだわり米の生産拡大やその比率の拡大が目指されていますが、取組の拡大に向けた対策と農業者への支援をどう進めるのか、農政水産部長に伺います。 ◎西川 農政水産部長  環境こだわり農業につきましては、慣行栽培と比較した場合、生産面については、生産コストが高く労力も増大することや収量が低くなる可能性があること、また流通面では、一般の農産物と同程度の価格で取り扱われている事例が多いことなどが課題であるというふうに思っております。  このため、生産面におきましては、農業者が取り組みやすい環境負荷削減技術の開発、普及を進めてまいりますとともに、流通面では環境こだわり米のみずかがみとコシヒカリを近江米の主力品種として位置づけ、有利販売、流通拡大に向けた取組を展開し、農業者の所得向上につなげてまいりたいと存じます。  さらに、県で新たに開発した水稲新品種につきまして、化学農薬を削減し、化学肥料を使わない栽培や、オーガニック専用品種として新たに普及できますよう、関係機関、団体と連携した取組を進めてまいりたく存じます。 ◆松本利寛 委員  滋賀県の環境保全型農業や環境こだわり米の押し出しについて、無農薬栽培やネオニコチノイド系農薬の無使用、農薬の無使用あるいは減農薬など、栽培を重点化するかなど、滋賀ならではの環境保全型農業の、環境こだわり米の生産拡大を目指すとともに、これをアピールし、打ち出していく必要があるんではないかというふうに考えます。発生予察の様々な細かい制度、さらには予防防除をやめるとか、そういう様々な工夫があると思うんですが、農政水産部長に伺います。 ◎西川 農政水産部長  防除のありようにつきましては、先ほど少し御紹介をいたしましたIPMというものが総合的な防除の取組でございまして、そういった中で合理的な防除ということが行われる、そういった取組を既に、この地域特認の中にも入れているところでございます。  また、併せて、先ほど少し御紹介しましたけれども、令和6年に本格的にデビューをする予定の水稲新品種では、オーガニックをはじめ、ネオニコチノイド系農薬を含むそういった農薬を使用しない栽培に限定したものとしていきたいというふうに考えておりますし、また、環境こだわり農業推進基本計画について、来年度改訂時期を迎えますことから、従来から取り組んでおります環境こだわり農業の中でも、オーガニック農業や新品種だけでなく、ネオニコチノイド系農薬を使用しない取組を広く推進することができないか、検討を始めたいというふうに思っております。 ◆松本利寛 委員  農家サイドから見ても、必要でない農薬の防除をやってるケースがあるんですね、予防防除――発生をしてないのに防除をする。気持ち先に安全だという思いもあるから、ここはやっぱりもっと見直していく必要があるかなというふうに思います。  今おっしゃった次に、オーガニック近江米等産地育成事業の現状について、農政水産部長に伺います。 ◎西川 農政水産部長  令和3年度の水稲オーガニック農業取組面積は、265ヘクタールと、昨年より28ヘクタール増加をする見込みでございます。生産量につきましては、生産者への聞き取りから、10アール当たりの収量を6俵というふうに仮定をいたしますと、およそ1,000トン弱になる計算でございます。  また、価格については、農業者が消費者と直接取引されている場合の金額は、これは様々でございまして、把握が難しゅうございますけれども、量販店で販売されている県統一パッケージのオーガニック近江米コシヒカリの店頭価格は、2キログラム当たり1,280円、これは税別でございまして、慣行栽培のものと比べて約1.5倍となってございます。 ◆松本利寛 委員  それで、そのオーガニック栽培の裾野を広げるための技術上の課題がどこにあるのか部長に伺います。 ◎西川 農政水産部長  オーガニック近江米の生産におきましては、収量、品質が不安定になりやすいこと、また労働力等コストがかかるといった課題がございますが、その中でも最大の課題はやはり雑草害対策であるというふうに思っております。  あわせて、近隣の慣行栽培圃場からの農薬の飛散を防ぎますため、隣接の圃場や周辺環境の管理者との連携も必要であるというふうに考えております。 ◆松本利寛 委員  栽培されてる農家の声で、今、部長おっしゃったように、隣接圃場に農薬が散布された場合、無農薬でやってる圃場に農薬が飛散すると。この問題を事前に措置をするとか、あるいは、もう草が生えてしゃあないと、これを人力で取るのは、もう無理と。だから、機械がどうしても必要です。この機械に対する助成について、県は、どういうふうに対応しておられるのか、部長に伺います。 ◎西川 農政水産部長  オーガニック米に新規に取り組む、あるいは、拡大しようとされる農業者に対しまして、オーガニック近江米の省力生産安定に不可欠となります乗用型の水田除草機の導入費に対しまして補助を行っているところでございます。  この事業では、稲を倒さないように、除草作業を目で確認しながら作業できる除草装置が前の方についている乗用型の水田除草機を補助対象としているところでございます。 ◆松本利寛 委員  オーガニックの栽培のために、この除草機、大体高いもので、1台、400万円、あるいは、もう少し軽微な三輪で二、三百万円ということになっています。わざわざこれ導入しなくてはならないということで、今、この補助になっていない田植機の田植部分を取り除いて、その後ろに除草機を取り付けるアタッチメント形の除草機が開発されていますけれども、これ今県の補助対象になってないのです。  コストカットから見ても、これ1台150万円ぐらいだそうですけども、また農作業安全の面からも、ぜひ、これ対象にするべきではないかというふうに思うのですが、県の部長の見解を伺います。 ◎西川 農政水産部長  先ほど申しましたように、これまでからは、目視で確認しながら作業ができる除草の精度を高めるという意味合いから、前方に除草装置がついているものに限って、助成をしてまいりました。ただ、御指摘のように価格も高うございます。国の方で、みどりの食料システム戦略で、オーガニック農業の取組面積について非常に高い目標が設定をされ、また本県においても、そうした取組の中でもトップランナーでありたいというふうに考えておりまして、その点から、取組面積の拡大のスピードは上げなければならないというふうに思います。  近年、この様々な機械メーカーから、この除草の作業機構の位置にかかわらず、効果の高いものが出てきているというふうに承知をしておりますので、本事業につきましても、アタッチメントタイプのものも含めまして、幅広く支援対象にしてまいりたいというふうに考えております。 ◆松本利寛 委員  ぜひ、オーガニック米は、農家にとっては魅力あるんですけども、手間と労力がかかると、この点の解消に向けて、県のさらなる取組の強化を求めて、発言終わります。 ○奥村芳正 委員長  以上で、松本利寛委員の質疑を終了します。  しばらくそのままでお待ちください。  次に、海東英和委員、待機席へお願いします。  それでは、海東英和委員の発言を許します。 ◆海東英和 委員  部局別予算の概要の117ページ、子育て環境づくり対策事業費14億2,600万円を切り口に知事にお伺いします。  子供の教育政策は、石塚左玄が提唱した知育、徳育、体育、食育の4本柱で展開すると分かりやすいと考えます。  伝教大師は、「一隅を照らす人間こそが国の宝」と、多くの弟子を導かれ、1200年。  のちの世に、近江聖人と呼ばれた中江藤樹は、「人は皆生まれながらに良知という美しい心を持っており、その良知に相談すれば、人として間違うことはない。自分を痛めつけ、苦行をしなくても立派な志がなくても、心の鏡が曇らないよう磨き、明徳を明らかにしようと努めることで、誰もが聖人になれる」と実践され、400年。  知事が紹介された糸賀一雄先生の「この子らを世の光に」の実践から50年。滋賀には、受け継がれてきた教えが、地下水のようにたたえられていると思います。  令和4年度政策の柱、子ども、子ども、子ども政策は、いかなる考え方と理想に基づき、政策形成、予算化されたのかを問います。 ◎三日月 知事  従来から、少子高齢化の進行、地域の人間関係の希薄化や価値観の多様化といった社会環境の変化が指摘されてきたところでございますが、約2年に及ぶコロナ禍におきまして、その動きが加速いたしまして、マイナス面のしわ寄せが子供たちに様々な影響を与えているのではないかと懸念しているところです。  どのような時代のどのような環境にありましても、子供たちが生まれながらに持つ美しい心、中江藤樹先生の教えであれば、良知の心が損なわれることのないよう、また、糸賀一雄先生の「この子らを世の光に」の理念を軸に、子供たち一人一人の命が輝き、自分の望む人生を歩むことができるようにと、令和4年度の予算に反映しようとしたところでございます。 ◆海東英和 委員  質疑を進めます。  幕末から明治初期に日本を訪れた外国人らは、総じて、日本を世界でもまれな子供をいとおしむ国であると賛美しています。好奇心や探求心を養う幼児期は、極めて大切で、今風に言うと右脳から言語脳の左脳に主導権が渡る6歳までに、様々な肯定的体験と自尊感情を養える子育ち環境が大切であろうと考えます。  困難の中から、子供を救う政策は、誰一人取り残さない政策として理解し、支持します。と同時に、多数者に属する一人一人の子供の可能性を個別最適で伸ばす政策、滋賀らしい子育て環境づくりの本流は、どのように展開していくのかを知事に問います。 ◎三日月 知事  まずは、一人一人、全ての子供が生まれながらにかけがえのない存在であること、そのことを子供自身が実感できていることが大切だと存じます。  その上で、子供たちの可能性を伸ばすには、学力はもとより、目標を決めてやり抜く力、やる気、意欲、行動力、創造力、周りの人への思いやり、コミュニケーション力といった能力を身につけることが、大切だと考えます。  子供たちが楽しみながら、自分の力で考え、工夫してやり遂げたり、仲間と同じ目的に向けて協力して取り組んだりして、充実感を味わう経験を、小さいうちからたくさん積み重ねてほしいと存じます。  そのためには、社会全体で子供の育ちや子育てを支え、琵琶湖をはじめとする豊かな自然や身近な地域をフィールドといたしまして、しがこども体験学校の体験プログラムを充実させるなど、様々な実体験を通して、人間性や社会性を育むことのできる環境というものも大切にしていきたいし、またつくっていきたいと考えております。 ◆海東英和 委員  子育て環境は、県だけでなく、公益的法人やNGO、宗教者を含む県民の総力により、社会全体で誰一人取り残さない仕組みを作ることが大切だと考えます。そのことを例えば、マンダラチャート等で示してくださると、大変分かりやすいのですが、いかがですか。 ◎三日月 知事  御紹介いただくマンダラチャートそのものを使っているわけではございませんが、大きな目標に向けてやるべきことを細分化して整理し、一つ一つクリアして目標に近づく手法、こういったものは非常に有効であると考えますし、また参考にもなると存じます。  御指摘のとおり、行政の取組だけでは、支援を必要とする方に十分な支援が届かない面もございまして、関係団体、NPOとの協働をさらに進めてまいりたいと存じます。  令和4年度は、新たに地域の魅力を生かす子どもの居場所づくり推進事業やヤングケアラー支援体制強化事業などを、NPO等の皆様方との協働により、実施していく予定でございます。 ◆海東英和 委員  県民みんなも、よく分かり、参画できるように、工夫をお願いしたいと思います。そして、少子化の中での集団の経験や異世代との経験、親以外の大人と関わる経験が望まれますので、一例として、前にも申し上げた子供をお客さんにする子ども食堂から、子供が主人公の食育型子ども食堂などに転換していく事業等を検討されたいと思いますが、いかがですか、知事に伺います。 ◎三日月 知事  おっしゃったように、単なるお客様ではなくて、一緒に作っていく、主体となる、主人公となる子ども食堂という考え方は大変重要だと思います。自分が利用する子ども食堂がどうあってほしいのか、自分の意見を出して、当事者である子供たちが主体的に関わっていくこと、こういったことは、非常に重要な観点だと存じます。  既に、子ども食堂の中には、子供たちが育てた野菜を食材にする取組をされていたり、かまどベンチで飯ごう炊さんや調理をして、防災について考える機会を持たれるなど、様々工夫されている事例もございまして、県においては、好事例の展開、こうした好事例の展開を図っていくため、県社会福祉協議会に対して、コーディネーター配置、研修会や情報交換にかかる経費等の支援を行っているところです。  また、来年度、令和4年度新たに基金を活用いたしまして、地域の魅力を生かす子どもの居場所づくり推進事業を予定しておりまして、子ども食堂を含め、先駆的な子供の居場所づくり事業を行うNPO等を公募型で支援することとしたいと存じます。 ◆海東英和 委員  100円握らなくても行ける場所、ぜひ作ってやってください。  次に、子育て環境の最大の要素は、家庭の教育力で、子供を育てる親であります。子供の貧困は、親の貧困と言っても過言でありません。  社会教育法のもと、明日の親のための学級や青年学級という仕組みがありました。その後、若者の主体性を尊重し、青少年の社会教育団体活動が展開されてきました。専業学生から社会人となり、地域には、出会い、触れ合い、分かち合いの場、男女が互いの生理の違いや人権、平和、郷土愛などに目覚めていく共同学習の場がありました。これが社会教育から生涯学習へと変わり、いつでもどこでもだれでもと言い出したことで、イニシエーションと言われる、その世代で、学び経験しておかなければならないことが軽視され、集めやすい子供と老人に政策が偏り、地域をベースとした女性活動や青年活動が一気に弱体化しました。  そもそもうみのこは、滋賀青年の船の学びと経験の上に誕生したものであります。淡海子ども・若者プランに基づくと、30歳未満、事案によっては40歳未満を対象にした今日的な青少年活動の活発化や若者のニートや孤独を減らす仲間との協働を経験する場、親になるための学習の場の創出が期待されます。どのように熟議を加えておられるか、伺います。 ◎三日月 知事  地域活動により、人と人とがつながり、共に学び働き、喜びを分かち合うことで、地域に愛着を持ち、貢献しようとする気持ちを持つことは、社会人として、そして親として成長する上で、とても貴重なことと考えます。  一方で、青年活動に限らず、地域を基盤とした活動は、近年参加者が大きく減少しており、これまで地域で担ってきた様々な機能が低下していると言われております。  こうした現状や課題を踏まえまして、若者の主体的な社会参画を促すための若者ミーティングやネットワーク事業の実施に当たりましては、これまで以上に幅広く参加を呼びかけ、青少年団体の活性化を促すほか、地域の魅力や課題についての学びから地域活動への参画につなげていく生涯学習、社会学習の取組を通じて、多様な活動や学びの場が広がるよう努めてまいりたいと存じます。 ◆海東英和 委員  令和4年度から、あえて滋賀県子ども・若者基金を積み、単年度予算より継続した取組で成果を上げようと挑まれます。  まず、本基金のもくろみを問います。 ◎三日月 知事  基金で財源を確保する意義につきましては、数年先までを見越して集中的な取組が可能になることと、急激な社会環境の変化に対応しながら、機を逃さずに事業化につなげられることにあると存じます。  子供を取り巻く様々な状況を鑑みまして、今後数年間、集中的な取組を行い、子供が生まれる前から生まれた後も切れ目なくケアを行うための環境づくりを進めてまいりたいと存じます。 ◆海東英和 委員  若者仲間やコミュニティ活動、祭りなどが地域で活力を失ってきています。このことに、社会教育委員さんは、警鐘をずっと鳴らしておられました。  青年教育は、成果を確認するのに時間がかかり、忍耐が要ります。本気で向き合う担当者も必要です。基金を力に、どのような若者事業を予定していますか、お尋ねします。 ◎三日月 知事  令和4年度に、基金を活用して予定している事業のうち、委員がおっしゃるような若者の育成を目的とするものはございません。
     今後、基金を活用するに当たりましては、地域や関係団体、NPOとの協働、連携の視点を重視したいと考えておりまして、地域づくりや子供の健全育成の活動に取り組まれる青少年団体とは、この基金事業を通じて、協働や連携をすることができるのではないかと考えておりますので、積極的に対応していきたいと存じます。 ◆海東英和 委員  ここであえて触れておきたいことを申し上げます。  地域のスポーツや文化活動などのリーダーとして、報酬を求めずに社会に貢献する若者たちに、全国青年大会という伝統のある全国のスポーツ、文化の祭典があり、滋賀県は、若者を滋賀県選手団として構成し、一生に一度の晴れ舞台に送り出してきました。  この大会は、文部科学省も後援し、相撲は国技館、柔道は講道館、バスケットボールは代々木第2体育館、水泳は辰巳水泳場など、日本スポーツ協会の加盟団体は、トップアスリートの大会ではないが、全国のスポーツの裾野を広げる地域指導者の養成には、極めて重要な大会と最高の舞台を用意して支援されてきた意義ある大会であります。  滋賀県は、ある年、本県選手団の旅費の助成をやめ、支援を一方的に縮小してしまいました。若者活動へのまなざしが変わったことを案じています。若者、親になる世代は、国の未来です。仕事もおおむね下っ端で給料も安く、地域のことも無知で、社会の変化が激しい中、身近なお手本となる若者像が近くに見いだせない。結婚、子育てにお金がかかる。そんな中で、可能性に満ちた世代に、共感的な人間関係を見いだし、穏やかに子供を産み育てられると思える安心感や貧困を脱する場の設定、そして、虐待の連鎖を断ち切る決意をする場などをやはり私たちが保障する責任があると思います。  若者への令和4年度政策は、出会い支援プラットフォームづくりや出会いの場づくり、孤立、孤独な若者への政策、就業支援など、対症療法の外部委託、業者等に支払う予算は、右肩上がりで1億円を超えます。表に表れた現象への対症療法も良としますが、若い親や若者自身の土の下の根を養う体験や仲間と協働を生み出す若者を育てる予算は、削られるばかりでしたので、ここを実行し、質、量ともに若者活動が充実する軌道修正が必要ではないかと思います。  一隅を照らす国民を、自尊感情を持って肯定的に生きていく滋賀の人材をどう作っていくのか、滋賀県子ども・若者基金にとどまらず、淡海子ども・若者プランにある青少年活動の活発化、特に青年層に、知事がおっしゃる「人は人の中で人となる滋賀らしい人づくり政策」を期待し、締めくくりとしての知事の御所見を問います。 ◎三日月 知事  まずは来年度、先ほど答弁で申し上げたとおり、若者ミーティングの開催やネットワーク事業などを活用いたしまして、青少年団体の活性化に取り組んでまいりたいと思いますし、地域の魅力や課題について、学びから地域活動にどのように参画、つなげていくのかと、生涯学習や社会学習の取組、そういった場づくりをさらに行っていきたいと思います。  委員は、青年団活動で様々な経験を得られたでありましょうし、私も労働運動の青年委員会活動で多くの仲間や、例えば、こうして人前で話すことについても学んだことがございます。人づくりの非常に重要なテーマになると思います。  したがって、教育や福祉、保健、医療、雇用、様々な分野と連携いたしまして、今日御提案いただいたようなことで、どのような取組がさらに作ることができるのか、子ども・青少年局を中心に部局横断で考えていきたいと思いますし、できれば、同じ悩みを市や町も抱えていらっしゃると思いますので、そういった市や町のこういった部局担当者の皆さんとも意見交換を行って、再来年度以降の施策づくりに反映させてまいりたいと存じます。 ◆海東英和 委員  子ども・青少年局に軸足が移って、生涯学習という教育長がおられないというのも、現代の典型かなと思います。また、アクリル板越しですが、真摯にお答えいただきましたので、何とぞよろしくお願いをしたいと思います。  それでは、次に、82ページ、自然環境保全推進費の野生生物保全対策事業の400万9,000円について、琵琶湖環境部長にお尋ねします。  野生生物保全対策事業の2025レッドデータブックに向けての調査に際し、今や500羽を切り、希少種となった県の鳥カイツブリについて、増えるきっかけになるよう特に重点的に調査されたいと思うが、そのような計画があるか、お尋ねします。 ◎石河 琵琶湖環境部長  滋賀県レッドデータブックの作成に向けて毎年行っております生きもの総合調査では、カイツブリ等の希少な種を中心に、県内の野生動植物の生息、生育状況等について、文献調査や現地調査により把握しております。  その中で、平成30年度にはカイツブリに注目した調査を行い、繁殖状況の把握等を行いました。  また、カイツブリにつきましては、毎年行っている滋賀県ガンカモ類等生息調査の中においても、生息状況の把握を行っております。  カイツブリの主な減少要因としては、繁殖に適したヨシ原や抽水植物群落の減少などが挙げられているところであり、今後も、カイツブリをはじめとした希少な種の生息状況等の把握に努め、調査結果を希少な種の生息、生育環境の保全に生かしてまいりたいと存じます。 ◆海東英和 委員  県の鳥のカイツブリ、調べれば調べるほど魅力的で愛らしい鳥だと思います。ぜひ増えるようにお願いをしたいと思います。  次に、84ページのカワウ対策事業に1,443万円が計上されています。県議会の議場や広域連合の委員会で議論しても、専門家が話し合っても、実行なしには、困っていらっしゃる県民は救われません。効果を上げるために、どのようなことを考えておられるか、お伺いします。 ◎石河 琵琶湖環境部長  本県のカワウの生息状況は、7,000羽程度で推移しておりましたが、内陸部の河川等で増加し、令和3年春の時点で約12,800羽に増加しました。また、1,000羽を超える営巣地が6か所あり、漁業被害や一部地域で生活環境被害が発生していることを確認しております。  これまでカワウ対策は、春の生息数の7割を捕獲目標とし、県事業等で銃器捕獲を実施しますとともに、市町の営巣防止等の対策への支援を行ってきたところでございます。  こうした取組に加え、令和3年度は、ドローンを活用した繁殖抑制等の実証試験を行っており、その試みを生かし、令和4年度は、市町や地元等の関係者と連携してカワウの状況に応じた機動的な対策も行ってまいりたいと考えております。  さらに、より効果が上がるよう中期的な取組として、関係者とともに地域ごとにきめ細かな方針を定め、これらに基づき、個体群管理や被害防除等の対策を計画的に行うことなどにより、カワウ被害の軽減を図ってまいりたいと存じます。 ◆海東英和 委員  カイツブリは守れ、カワウを撃ち殺せという大変何か地獄に落ちそうなこと言うてますが、やっぱり県民として、ぜひしっかりと対応をお願いしたいと思います。  次に、100ページ、健康しが推進費、健康寿命延伸のためのデータ活用事業47万円について、健康医療福祉部長にお尋ねします。  健康しがの事業で、野菜をもう一皿増やす事業は、各地の健康推進員に何年もお世話になりながらも、客観的に政策効果をつかみにくい事業であると思います。それがベジチェックという野菜摂取度が測定できる技術が開発され、実用段階に入っていると聞きます。健康寿命日本一に向け、健康寿命延伸のためのデータ活用事業に用いることはできないか伺います。 ◎市川 健康医療福祉部長  本事業は、県衛生科学センターが中心となりまして、学識経験者や県、市町の保健事業担当者、保険者等で構成されるプロジェクト会議の助言を得ながら、県民の健康、医療、介護に関するデータの集約、分析を行うとともに、これらを分かりやすく資料化し、県や市町の施策構築への活用を図ることとしております。  令和4年度につきましては、国民生活基礎調査の回答データを基にいたしまして、とりわけ全国順位が下位にある女性の主観的健康寿命について、経年的な変化を把握するとともに、平均寿命、主観的健康寿命との差が少ない他の都道府県についても調査するなど、多角的に要因分析をすることとしております。  こうした分析結果、さらにですね、今、御指摘いただきました野菜の摂取量、いろいろ情報ございますけれども、県民の健康づくりに様々な立場や視点から活用いただけるように、「健康しが」共創会議に参画いただいている団体を中心に幅広く共有いたしまして、「健康しが」ポータルサイトを通じまして、県民に向けて分かりやすく発信するなど、県民の健康意識の向上や長寿県としてのイメージ定着に役立ててまいりたいと存じます。 ◆海東英和 委員  健康寿命の分析をされたときに、いわゆる滋賀県の神や仏、宗教の施設も多く、心の安定というファクターが、私は大きく貢献してると思うんですが、それが分析項目に入っていないし、触れられていないと思います。もっと、滋賀県民に添って分析も進めてほしいと思います。  通告していますベジチェックというのは、政策の基礎となる県民の野菜摂取状況をデータで蓄積できる画期的な方法であります。市町と協力して、有効調査数2,000ぐらいをめどにしっかりととっていくことを本年度の予算を工夫して実施されたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◎市川 健康医療福祉部長  ベジチェックは、カゴメ株式会社が提供されているものでございまして、緑黄色野菜に多く含まれますカロテノイドの量を皮膚の接触により測定する機器でございまして、センサーに手のひらを押し当てると数十秒で測定し、推定野菜摂取量等が分かるものでございます。  現在、企業等では、食事の傾向や野菜の推定摂取量が測定できる様々な機器が開発されておりまして、このような機器を活用した取組は、望ましい食生活への気づきや行動変容につながるものでございまして、特に、健康無関心層への働きかけとして、有効なツールであると考えております。  こうした測定機器によるデータの収集、分析につきましては、有識者の御意見も伺いながら研究してまいりたいと考えておりますが、まずは県といたしましては、身近な健康づくりの活動の一つとして、例えば健康推進員の集まられる研修会などで御紹介いたしましたり、既に取り組まれている市町の事例を横展開したりするなど、広く周知することに努めまして、こうした取組が県内各地域で展開されるように支援してまいりたいと存じます。 ◆海東英和 委員  またチャンスがありましたら、議員や県庁職員も率先して体験できるように、お願いしたいと思います。  それでは48ページ、びわ湖ホール舞台芸術体験事業3,800万円について、文化スポーツ部長にお尋ねします。  ホールの子事業の参加交通費が、全額県費で支援されるとの制度変更を心から歓迎します。この予算の執行には、これまで距離に比例し、費用負担がかかることで、参加できなかった地域の学校は、令和4年スケジュールには、まだ入っていないと思います。  今回の制度改正が十分に理解され、このことが遠方の学校への朗報となるよう伝達に配慮され、制度が活用されることを期待しますが、どのように進めるのかを問います。 ◎中嶋 文化スポーツ部長  ホールの子事業につきましては、県が交通費を全額補助することを、これを各市町の教育委員会や小学校長会で丁寧に説明させていただきたいと考えております。特に、遠方の学校においては、往復にかかる時間的な負担も課題であるといったこともお聞きしているところでございまして、県立美術館や琵琶湖博物館等への校外学習と組み合わせることで、ホールの子事業の日を子供たちにとって貴重な体験学習の機会となるよう、学校関係者の理解を得ていきたいと考えております。 ◆海東英和 委員  よろしくお願いします。  さて、県政150周年に当たり、改めて滋賀県民の歌をみんなが愛唱するように取組を考えてほしいと念願します。  知事も、滋賀県民の歌の普及に努めるとおっしゃっていただいてますので、どのような働きかけを話し合われているか、お伺いします。 ◎中嶋 文化スポーツ部長  滋賀県民の歌につきましては、昨年度実施しました「みんなで音楽会へ出かけよう!」事業の中で、びわ湖ホール声楽アンサンブルの混声四部合唱で滋賀県民の歌をプログラムに組み込んだところでございまして、その様子を収録した動画や音源を楽譜とともに県のホームページに掲載をしたところでございます。  ホールの子事業は、優れた芸術に触れてもらい、芸術を感じる心や創造性を育むことを目的に、そのプログラムにつきましては、指揮者、交響楽団、脚本家の御意見を基に、公益財団法人びわ湖芸術文化財団や学習指導要領の観点等から、教育委員会事務局とも連携して、そのプログラムを作っているところでございます。  このプログラムの中で滋賀県民の歌の普及について、関係者とも協議をいたしました。フルオーケストラに適した曲の選出や全体の演出を考慮した上で、60分という限られた時間の中で実施することが求められていますことから、このプログラムの中に取り入れるのは難しいという判断をしたところでございます。  滋賀県民の歌がどのような場面で、どのような形で歌っていただけるか、あるいは聞いていただけるかといったことを考えながら、県政150周年に当たって、より多くの方に知ってもらう機会を作れるよう、引き続き関係者とともに検討してまいりたいと考えております。 ◆海東英和 委員  具体的には、オーケストラ譜がないというのができない理由の一つのようにも聞きますので、150周年で県民の歌のオーケストラ用の譜を作るとかも考えてほしいと思います。要望しておきます。  最後です。184ページ、道路関係公共事業227億円について、土木交通部長にお尋ねします。  令和3年4月に国において、防災減災国土強靱化に向けた道路の5か年対策プログラムが公表され、国道1号栗東水口道路、国道8号野洲栗東バイパス、国道161号小松拡幅14工区など、5事業が令和7年秋の開通を目指すとされているところです。  このうち、国道161号小松拡幅14工区については、昨年6月に北小松トンネルが貫通するなど、目に見えて工事進捗が図られており、事業主体の国土交通省をはじめ県関係者のこれまでの御努力に心から感謝を申し上げます。  さて、小松拡幅については、14工区が完成すると、残すところ13工区、湖西線の高架を超え、白鬚神社の背中をトンネルで抜いていくという大工事が待っております。この13工区について、2月26日に国土交通省と県の間で、手交式が開催されたとのことであります。この式が意味するところと、今後どのように事業が進められるのか、土木交通部長にお尋ねします。 ◎野崎 土木交通部長  公共事業調整担当の門間理事に、答弁委任いたします。 ◎門間 土木交通部理事  国道161号の小松拡幅13工区については、白鬚神社の周辺の景観保全や、お越しになる方の安全配慮などのため、琵琶湖側に張り出す現道拡幅ではなく、山側を通るバイパスルートをこれまで要望してきたところです。  これを受け、国において山側のバイパスルート検討が行われ、このたび詳細なルート案が取りまとめられました。今般の手交式は、都市計画決定の手続に先立ち、近畿地方整備局長から都市計画決定権者である知事に対し、ルート案が手渡されたものです。  今後は、計画説明会などで、地域に対し、具体的なルートや構造が示された上で、県においては、都市計画道路の決定手続を行い、並行して国においては、環境アセスメントの手続が進められることとなり、両手続の完了後、事業着手となります。 ◆海東英和 委員  国道161号の現状の交通渋滞や事故の状況を鑑みると、13工区についても、切れ目なく事業を進めていただきたいと切望いたします。  事業進捗を図るためには、一層の国との連携が重要だと考えますし、そして、国道の事業でありますが、滋賀県が果たす役割が大変大きいということを今、承ったと思っております。  滋賀県として、どのように国に協力し、事業進捗に努めていただくか、最後にもう一度土木交通部長にお訪ねします。 ◎野崎 土木交通部長  国直轄事業を推進するためには、県および地元市の協力が必要不可欠と考えております。このため、都市計画決定や環境アセスメント、その他法令に基づく手続はもとより、地元自治会、関係者に対する説明や事業用地の先行取得なども含め、円滑に事業が進捗するよう、高島市、大津市と連携し、しっかり国に協力してまいります。 ◆海東英和 委員   終わります。 ○奥村芳正 委員長  以上で、海東英和委員の質疑を終了します。  しばらく休憩します。 休憩宣告  12時20分 再開宣告  13時20分 ○奥村芳正 委員長  休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  次に、加藤誠一委員、待機席へお願いします。  それでは、加藤誠一委員の発言を許します。 ◆加藤誠一 委員  それでは、文化財活用促進費の中でございますが、部局別予算の概要52ページに「幻の安土城」復元プロジェクト事業がございまして、来年度は7,349万1,000円の予算が計上されております。幾つか確認をさせていただきたいというふうに思っております。  この事業の説明欄でございますが、デジタル技術を活用した安土城の見える化を行うということで、これはもう前々から知事も申されているとおりでございます。以前、知事は、安土城というのは山城であるということから、安土山を含めて安土城と、こういった認識をいただいていたと私は思っておりますが、このデジタル化での見える化、これは当然、安土山も含まれてであると思いますが、どの範囲なのか、どのように見える化を考えるか、文化スポーツ部長にお伺いいたします。 ◎中嶋 文化スポーツ部長  天主以外にも大手道や伝羽柴秀吉邸跡、伝前田利家邸跡など、安土城の遺構は安土山全体に広がっており、デジタルでの見える化に当たっても、安土山全体を対象と考えております。  また、安土山の麓に広がる城下町についても見える化の対象としておりまして、安土城と城下町を含めた信長時代の安土全体の見える化に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆加藤誠一 委員  安心をいたしました。安土山、今城下町の話が出ましたけれども、今干拓になってございますが、いわゆる東近江市のほう、大中の湖もあるし、小中の湖も干拓地になっていますけれども、琵琶湖に囲まれているという安土山でございますので、当時、なぜあそこに城ができたか、こういうことが想像できるような、あるいは、ああ、なるほどと言えるような見える化をしていただきたいと、こんなことを願っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  しかしながら、その肝腎の天主の安土城、まさに今は幻でございます。安土城絵図屏風の情報収集が始まりました。まだ始まったばかりですから、これからですので、今の段階ではお聞きいたしませんけれども、それでは、このデジタル化での見える化ですね、この令和4年度の予算で何をどのような形で進めようとされているのか、文化スポーツ部長にお伺いいたします。
    ◎中嶋 文化スポーツ部長  令和4年度は、今年度策定する基本計画を踏まえ、基本設計を実施することとしております。令和3年度の基本計画では、見える化の基本的な考え方を現地ならではの本物が持つ迫力と魅力を見える化するということとしまして、現地の特性に合わせて対象地全体のゾーニングを行い、各ゾーンに応じた効果的な見える化の方向性を定めたところでございます。  令和4年度に策定する基本設計では、これまでの研究の蓄積や発掘成果を活用し、ARやVRを用いて、具体的に、どこで何をどのように見せるかという復元の内容や手法を定めてまいりたいと考えております。 ◆加藤誠一 委員  いよいよ基本設計のレベルに入ってくるわけでございますが、そこで一つちょっと気になっているところがございまして、摠見寺であります。中嶋部長も摠見寺はよく行っておられるというふうに聞いておりまして、毎月21日に行事がありますけれども、これにも参加をいただいているということで住職からも聞いております。大変熱心な部長さんでございますので、摠見寺のことを忘れないのではないかと思うんですが、実はこの摠見寺、今のあそこにありますのは、先ほどいろいろな何とか邸ありましたけど、徳川家康邸の跡に今建っているようでございまして、あれあくまでも仮本堂ということにされているようでございます。そういうところを考えますと、このデジタル化での見える化、この摠見寺の取扱いなんですけれども、どういうふうにお考えかをお伺いしたいと思います。 ◎中嶋 文化スポーツ部長  信長時代の摠見寺は、現在の仮本堂の位置とは異なり、安土山の南西尾根筋を通る百々橋口道上に建てられております。摠見寺については、発掘調査や文献、絵図資料による調査研究の成果を踏まえ、信長時代の姿をデジタルで復元したいと考えております。 ◆加藤誠一 委員  摠見寺は、今おっしゃったところに実はもともとあったということでございますので、部長も多分御存じだと思うのですが、和尚も当時のその文献等、現段階でも摠見寺にいろいろなやつがあるという話をされていました。将来、摠見寺もいろいろなところでお考えがあるようでございますけれども、ぜひともそうした、ありのままというか、現実あったところの復元でお考えをいただきたいというふうに思います。  残念ながら、このデジタル化ができる頃には、部長はもうこの席におられないということになりますので残念でございますけれども、こうした大きなプロジェクトの道筋をつけていただいたことに敬意を表しながら、4月以降もぜひ摠見寺のほうにお越しいただきますことをお願い申し上げまして、この質問は終わらせていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。  次に、農政水産部に関する2つの新規事業についてお伺いしたいと思います。  まず、水産基盤整備事業、これでございます。この中の部局別予算の概要167ページに、新規で水産基盤整備調査費600万円ございます。まずこの事業は、新規なのですが、増殖場施設の機能低下の課題に対応するためという説明がございますが、もう少し具体的に、この課題とは何なのかを農政水産部長にお伺いいたします。 ◎西川 農政水産部長  琵琶湖漁業の重要種でございますニゴロブナやホンモロコの増殖に寄与いたしますため、産卵繁殖場となります岸際のヨシ帯の造成および極端な水位低下に対応する浮産卵床の整備を行ってまいっております。しかし、整備後、時間の経過につれまして、経年劣化とともに、強い風や波による浮産卵床の損傷、また造成ヨシ帯への外来水生植物やヤナギ等の植物の侵入、土砂の流出によるヨシ帯の衰退など、増殖施設としての機能低下が顕在化してきております。  そこで、これらの課題が典型的に表れてきております守山市の赤野井湾をモデルに、機能低下の状況と資源への影響、機能回復に向けて求められる対応などについて調査、検討しようとするものでございます。 ◆加藤誠一 委員  今、これまでに作られたヨシ帯でありますとか、浮産卵床等が大分劣化しているというような状況の中で、課題として取り上げられました。今回その調査ということで、今、御答弁でも赤野井湾をモデルという話でございましたけれども、具体的に、この課題解決のための実現に向けての調査なんですが、どんな調査なのか、これを踏まえてどういうふうに生かされていくのか、こんなところを農政水産部長にお伺いいたします。 ◎西川 農政水産部長  今ほど申し上げたような課題が顕在化しております代表的な施設、これは赤野井湾でございますけれども、造成当時と比較した水ヨシ帯面積の変化であったり、水中を含む浮産卵床の状態の確認などを行い、産卵繁殖場としての機能を調査いたしますとともに、底質――底の状態です。水質から見た仔稚魚、魚の生まれたてからもう少しまでの期間の魚でございますが、これの成育環境の評価をしたいというふうに思っております。あわせて、対象魚種の産卵状況の調査も行いまして、これらの調査結果とニゴロブナやホンモロコの生態的な知見を踏まえた当該施設の機能回復手法を検討してまいりたいというふうに存じます。 ◆加藤誠一 委員  最後のお言葉にもありますように、機能の回復に向けての調査ということでございますけれども、単年度のこの600万円でございますが、これ単年度の調査だけでそういう結果まで導き出せるのか、その時々によって、いろいろな状況があると思うのですが、そこら辺、この単年度どのような調査で終わるのか、場合によっては、そのところまで、次の年までいくのか、ここら辺の考えはどうでしょうか、お伺いします。 ◎西川 農政水産部長  まずもっては、単年度の計画としてございまして、令和4年度は、まずは代表的な箇所である赤野井湾を対象に基本的な調査を実施し、状況の把握をしたいと存じます。  その結果を基に、令和5年度以降には、赤野井湾につきましては、機能回復に向けた計画の検討を行いますとともに、これ以外の地域に点在する増殖施設についても対象を広げてまいりたいというふうに存じます。 ◆加藤誠一 委員  聞いておりますと、この調査から、本来あるべきその漁場の確保というものを目指されているというふうに思います。新規でスタートされるわけでございますので、その後検討して、実際事業が始まって、少し長期的な展望でもって、この事業が行われるんだろうという思いですけれども、部長の段階で、この機能回復後の姿というのをどんなふうに今描いておられるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。 ◎西川 農政水産部長  造成ヨシ帯は、コイ科の魚類にとって産卵繁殖の場として極めて重要な役割を果たしていることが確認をされてございます。したがいまして、継続的にしっかりと管理していくことによって、このヨシ帯が健全に維持されている状況を継続できるようにしてまいりたいというふうに考えます。  また、琵琶湖の水位が極端に下がった場合に機能を発揮する浮産卵床につきましては、設置から約40年を経過する間に、新たな知見や経験も得られておりますので、こういったものを生かして、より効果的に機能発揮することが期待され、また、管理も簡便であるような施設に改修することも含めて検討してまいりたいというふうに存じます。 ◆加藤誠一 委員  そうした形で、これからも滋賀県の水産業が発展するためのスタートになると思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。  次に、もう一つの新規事業で、これは部局別予算の、これは水産試験場の調査の中でございます。新規で特産マス類を用いた河川利用の高度化と優良種苗化研究というのがございまして、これも新規事業なんですが、これは研究となってございます。なぜこの研究がまず必要になったのか、その背景からお伺いしたいと思います。 ◎西川 農政水産部長  河川漁業の振興には、これを担います河川の漁業協同組合が、遊漁者にとって魅力的な漁場をつくり、運営していくことが必要でございます。このためには、放流方法を効果的なものに改善する必要がございますが、経費の増加や失敗への不安などから、これまでの経験に基づいた方法を変えられないまま遊漁者離れの傾向が続いてきているのが実情でございます。  加えて、特にマス類につきましては、河川漁協から、漁場によくとどまり、姿の美しい種苗、この姿の美しいといいますのは、体の表面に斑点がきれいに出ている魚ということでございますが、こういう姿の美しい種苗を提供してほしいという要望が強くございます。これらのことから、組合が魅力的な漁場づくりに生かせますよう、良質な種苗の供給と、その適切な放流方法の開発が改めて必要となったものでございます。 ◆加藤誠一 委員  今回、新規でそうした事業をされるということを非常にありがたく思っております。私も永源寺のほうへよく行くんですけれども、永源寺の組合もそれなりに、この前もダムのところで新しい漁場をやると言うてプロジェクトが動いておりましたけれども、併せてこういう研究がいいなと思いました。  では、その具体的な研究内容を少し教えていただきたいと思います。 ◎西川 農政水産部長  まず、放流方法につきましては、1年程度育てた種苗を秋に放流するというのが現在の方法でございますが、これと、半年程度育てた小型の種苗を春に放流するという方法の効果の違いを規模の異なる漁場でそれぞれ調査をしたいというふうに思っております。これで得られたデータを解析することによりまして、費用対効果の高い放流方法や効果的な漁場の利用方法を実証してまいりたいというふうに存じます。  また、種苗の優良化につきましては、現在飼育している種苗同士の掛け合わせによるものと、天然魚を捕獲してまいりまして、これを利用する方法も併せて試みてまいりたいと存じます。  また、各河川の上流には河川ごとに系統の異なる在来マス類が生息している場合がございまして、禁漁区にするなどによってこれらを保護いたしますとともに、この禁漁区から下流への流出個体を活用することなどによる魅力ある漁場づくりについても検討したいというふうに考えております。 ◆加藤誠一 委員  具体的にありがとうございました。河川の放流的な話と、それから新たな種苗を探すという話でございましたけれども、先ほどの水産基盤のほうは、これまであった話ですから、調査して1年以内でしょうけど、今回の場合、研究と言うからには数年必要ではないかなというふうに思いますが、これ単年度研究で結果というのは出せるのでしょうか。あと計画、今後の研究の計画があれば教えていただきたいと思います。 ◎西川 農政水産部長  この研究につきましては、令和7年度までの4年間を視野に入れながら取組を開始させていただきたいというふうに存じます。  この今ほど申し上げたうち、放流方法につきましては、令和4年度には現況把握、令和5年度から令和6年度にかけて、放流方法の検討と実証、そして、令和7年度には実際の河川漁場での適応を図ってまいりたいというふうに存じます。  また、種苗の優良化では、4年間をかけまして掛け合わせと選抜を繰り返すことによって、放流用として魅力ある種苗を生産できるようにしてまいりたいと存じます。 ◆加藤誠一 委員  ありがとうございました。4年間、令和7年ぐらいまでの計画での調査ということでございますが、せっかく新規で新たな取組ですから、しっかりと調査をいただきながら、結果が出るように頑張っていただきたいというふうに思うんですけれども、これもまた先なんですけれども、令和7年ぐらいまで調査、研究をすると言いながら、実際にそうして新たな斑点が良いマスが出てきて、その河川漁場の経営が安定をするというのは、部長、いつ頃にはそういうふうになるかなと、したいなと思っておられるのであれば、お伺いしたいと思います。 ◎西川 農政水産部長  遊漁を中心とする河川漁業につきましては、先ほどから申し上げておりますが、レジャーの多様化や河川環境の変化などもあって、年々その規模が縮小する傾向にございます。また、河川漁協の組合員の減少や高齢化もあって、厳しい状況が続いてございます。  しかしながら、このコロナ禍を通じまして、人との接触が少ない渓流釣りというレジャーが改めて見直されてきておりまして、河川漁業に日が当たり始めている、そういった状況もあるというふうに考えております。したがいまして、もうぜひこの機を逃さず、効果が発現できますように、この本事業、令和7年度までの4年間を予定してはございますが、途中経過も含めて、随時、河川漁協の関係者と情報共有を図りまして、その成果をいち早く現場で活用いただけるように取り組んでまいりたいというふうに存じます。 ◆加藤誠一 委員  新たなスタートを切る新規の事業を2つお伺いさせていただきました。  西川部長、私の記憶によりますと、平成二十五、六年が多分水産課長されていた時分やと思いますし、その前にも課長補佐をされていた時分があったと思います。そういう意味では、水産行政につきましても、農政水産部長になられまして、いろいろな取組をいただいていまして、後継者問題の新たな事業も立ち上げていただきまして、水産に関しましては、西川部長がというぐらいの思いで取り組んでいただいたのだと思います。そういう意味で、滋賀の水産業への振興に対しましての部長のこれまでのお取組には大変敬意を表したいと思います。  残念ながら、これまた3月末ということも聞いておりますけれども、ただもう一つは、今フェイスブックを見ていますと、ふなずしでありますとか、いろいろな水産業のPRもやっておられまして、あれ見ていろいろなことを私も情報収集しておりますけれども、水産業のことにつきましては、また次の部長に引き継いでいただきますとともに、この後はまた杉本委員がまた水産のほうはやっていただけると思いますので、よろしくお願いします。すみません。  それでは、農政水産部のお話は終わらせていただきまして、次に、土木交通部の建設業者指導育成費の関係で、土木交通部長にお伺いをしたいと思います。  部局別予算の概要181ページ、建設産業魅力アップ事業からです。  まず、この事業も継続されておりますけれども、今回も継続をするということで、その継続しているという背景につきまして、まずお伺いしたいと思います。 ◎野崎 土木交通部長  建設産業は、社会インフラを整備するだけではなく、整備した施設を長期にわたり使用できるよう維持管理し、さらに災害が発生した際には、迅速に被害の拡大を防止し、施設の復旧を図るなど、地域の担い手、守り手でございますことから、将来にわたって、その役割に対応できる能力を維持いただく必要があると認識しております。  しかしながら、県内の建設産業の従事者数は、少しちょっとデータが古くて恐縮でございますが、平成27年までの10年間で、約80%に減少し、中でも30歳未満の従事者数は半分以下の約48%にまで減少しており、若者の入職が進んでないことから、建設産業が将来にわたり、技術が伝承され、その能力が保持されるということが危ぶまれる状況となってございます。  建設産業魅力アップ事業では、こういった現状を打開し、次世代の担い手を確保するため、平成27年度から、イベントや出前授業、現場見学会などの取組を実施しておりますが、こうした取組が実を結び、建設産業のやりがいや魅力が広く理解され、安定的に若者に入職いただけるまでには時間を要しますことから、継続して取り組む必要があると考えてございます。 ◆加藤誠一 委員  最後のほうにございましたように、実を結ぶためにまだ継続せなあかんという答弁からすれば、道半ばかなという雰囲気でありますけれども、ただ平成27年から取組をいただきましたんですけど、その後、もう数年たっておりますけれども、やはりこの魅力事業の成果というものをどういうふうに感じておられるのか、部長にお伺いしたいと思います。 ◎野崎 土木交通部長  この魅力アップ事業についてでございますが、野外イベントとして開催しております滋賀けんせつみらいフェスタでは、子供から大人まで幅広い年齢層を対象に、建設産業の仕事の内容を紹介する展示や建設機械の操作体験、県内の工業高校の生徒による木材工作体験などを実施しております。毎年多くの方に御来場いただいておりまして、特に今年度は、約3,000人もの方に御来場いただき、コロナ対策で入場制限を行うほど盛況でございましたけども、その際のアンケートによりますと、ほとんどの方が建設産業の魅力を感じたというふうにお答えをいただいております。  また、中高生を対象に、建設業で働く人から仕事の内容ややりがいなどを学ぶ出前授業あるいは工事現場の見学会なども開催しまして、令和元年度以降で計34回、延べ約1,200人に参加をいただいております。  今年度の現場見学会のアンケートによりますと、約3割の生徒が将来、建設の仕事をしてみたいというふうにお答えをいただいております。加えて、令和元年からは、リクルートキャラバンといたしまして、県内の建設会社の若手社員が、県内の高校や県外の高等専門学校などに出向き、学生に対しまして仕事内容やキャリアパスなどを説明の上、意見交換を行っております。県としてもこうした活動を支援しているところでございます。こうした取組を継続的に実施することによりまして、徐々に若手の入職者の増加につながっていくというふうに考えてございます。 ◆加藤誠一 委員  あまり私も今まで聞いていなかった。確か、滋賀けんせつみらいフェスタを一度は寄らせてもらったことあるんですけども、やっぱりそうした継続の中で、やっぱり建設産業の必要性なり、あるいは魅力を感じていただけるということをまずはPRするということは非常に大事やなと、改めて感じたところでございます。まさに部長、初めの答弁でもございましたけれども、地域の守り手だと、こういう意識を持ってこの事業はされているということに対して、これからもしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。  部長も建設現場、あるいは土木の技術者として長年こられていましたけれども、こうした事業の中において、現段階で部長がこの事業でどのような建設産業界の姿を描いておられるのだろうかと、こう思いましたので、部長はどうお考えかをお伺いしたいと思います。 ◎野崎 土木交通部長  建設産業は、県民の皆様の安全、安心を確保し、豊かな暮らしと地域経済を支える、担い手、守り手として必要不可欠でございますことから、後継者の確保、育成が喫緊の課題と考えてございます。このため、この魅力アップ事業で建設産業のやりがいや魅力を広く理解いただきますとともに、あわせて、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けまして、週休2日の確保でありますとか、ICTの活用などにより労働時間の縮減を図りまして、また、性別や年齢などを問わず安心して健康的に働くことができる職場環境の整備なども促進しているところでございます。  今後も建設産業界と連携をいたしまして、この魅力アップ事業をはじめ、こうした様々な取組を行うことによりまして、建設産業がやりがいと誇りを持って生き生きと働くことができる、そういう選ばれる産業となるように取り組んでまいりたいと考えております。 ◆加藤誠一 委員  今、部長の答弁を聞いていながら、やっぱり産業界からすれば、これ労働者、労働的な考え方をしますと、商工観光労働部の労政行政とも一緒にやっていただいて、滋賀県を挙げて取り組んでいただく、こういうことも大事ではないかなと、ふと思った次第であります。  次に、最後なんですけれども、同じく建設業者審査契約事務というものがございまして、これは予算に関する説明書の166ページでございますが、ここで工事等入札参加資格審査申請について、県と市町の共同受付実施に係る予算が計上されております。この共同受付実施というのはどのようなものかお伺いいたします。 ◎野崎 土木交通部長  入札参加資格審査申請の共同受付についてでございますが、建設事業者は県や市町が発注する工事などの入札に参加する場合、発注機関である県や市町に入札参加資格審査申請を行い有資格者として登録されることが必要となっております。  これまでは建設事業者が作成された入札参加資格審査申請の書類の受付および審査を県や市町がそれぞれ行ってきたところでございますが、この共同受付は県が市町分も含め、一括して電子化された申請データにより受付審査を行うものでございまして、この4月から運用を開始することとしております。 ◆加藤誠一 委員  そうしますと、部長、確認ですけれども、結局、その審査が今県と市町、それぞれされましたけれども、県が市町も含めてやるということは、一回の審査で市の契約に係る資格審査も終わってると、そう解釈していいのか、確認だけですが。 ◎野崎 土木交通部長  基本的に県のほうで一括して審査させていただこうということでございます。ただ、全て県と市町が全く同一の審査内容でないところも一部ございますので、そういった部分については、別途市町に一部書類を郵送で届けるとか、そういう作業はごく一部ですけれども残ってございます。 ◆加藤誠一 委員  かなりの分で行政側もそうですが、事業者側も結構、大変いい取組だなと思いますが、この取組で期待される効果というのは、部長的にはどういうふうに見ておられるのかお伺いします。 ◎野崎 土木交通部長  共同受付の効果といたしましては、建設事業者は希望する県、市町に対し一括で申請データが作成できまして、また、対面で申請するという必要がなくなりますことから、負担軽減につながるというように考えております。また、あわせまして、感染症対策にも資するものかなというふうに考えております。  また、県、市町におきましても電子化により、受付審査業務が効率化されまして、コストの縮減も図れるというふうに考えております。 ◆加藤誠一 委員  この質問を考えながら、ちょっと調べてましたら、これは実は平成30年に木沢委員が質問されておられまして、これは行政改革の方針の中で書いたやつを、野崎部長のときにこうして結果が生まれまして、いよいよそうした新しいシステムでスタートするということになりました。部長におかれましても長年、土木行政御苦労さまでございまして、最後に、こうした部長の中でこうした取組がスタートすることを大変うれしく思っております。これからもいろんなところで御活躍されますことを御祈念申し上げて質問を終わります。ありがとうございました。 ○奥村芳正 委員長  以上で、加藤誠一委員の質疑を終了します。  しばらくそのままでお待ちください。  最後に川島隆二委員、待機席へお願いします。  それでは、川島隆二委員の発言を許します。 ◆川島隆二 委員  それでは、最後によろしくお願いいたします。
     子育て政策に関して、特に、困難を抱える子供、若者への支援について全て健康医療福祉部長にお伺いいたします。  今議会に提出された次年度予算案の中で、知事は子供たちが健やかに育つ環境を整えるに当たって、困難な家庭環境にある子供、若者への支援を強化する必要があるという発言をされ、また、子供政策を柱に据えた政策を重視していく姿勢を示されました。  これは、我々の代表質問でもありましたように、国でもこども家庭庁の設置に伴い、今まで以上に子供政策に力を入れていく方向であることも考えると、なかなか進まなかった子供、若者政策を一気に推し進める大きな分岐点になろうかと思います。  今回、新たに子ども家庭相談センターを設置することや、困難な生きづらさを抱える子供や若者に寄り添った支援の充実を図るとのことでありますが、具体策をさらに掘り下げたいと思います。  まず、今回、新たに設置されようとする子ども家庭相談センターであります。  今定例会で自民党の代表質問で「子ども家庭相談センターをどのように強化し、きめ細やかな体制をつくろうとしているのか」という質問に対して「一時保護所を併設する新たな子ども家庭相談センターを設置し、4センター体制にすることで緊急時のより迅速な対応と市町との連携を図る」との答弁でありましたけれども、新たなセンターを設置することによりどのような効果を期待しているのでしょうか。部長にお伺いいたします。 ◎市川 健康医療福祉部長  虐待通告時の迅速な子供の安全確認、安全確保や保護者指導等により事案の重篤化を防ぐことができ、また、市町関係機関との密度の高い連携により、それぞれの職員の対応力が向上するほか、身近なところで障害等級の判定や専門相談ができ、県民サービスが向上すると考えております。  さらには、現場への移動時間の短縮によりまして、ケース対応に時間を割き、より丁寧なケースワークが可能となるほか、管理職やベテラン職員からのサポートが手厚くなり、若手職員の育成と離職等の防止を図ることができると考えております。こうしたことによりまして、センターのみならず、市町関係機関も含めまして、総合的に子供と家庭への相談対応力が向上するものと考えております。 ◆川島隆二 委員  今、若手職員の育成等々ありましたけれども、やっぱりでも、課題であるのは相談員とか、職員の確保、こういったところだろうというふうに思いますけれども、こういった人材育成と相まって、そういった意味ではどういった体制を整えようとされてるのか、部長にお伺いいたします。 ◎市川 健康医療福祉部長  子ども家庭相談センターでは、児童福祉士の配置につきまして令和4年度を計画最終年度といたします国のプランに基づき計画的に児童福祉士を増員してきたところでございます。そのため、各センターに育成指導担当職員を配置いたしまして、意欲や資質を高める研修の実施や、対応困難ケース事案に同行し、助言指導を行うことで若手職員がケース対応に悩み、孤立し、リタイアすることなく、信念と自信を持って業務を遂行できるよう必要な体制を整えてまいりたいと存じます。加えまして、センターに出向している警察官を3名増員することで警察との連携をさらに強化してまいりたいと存じます。 ◆川島隆二 委員  さっきも高度な連携であるとか、時間短縮という話があったんですけれども、今回4つ目の開所になるのですけど、本来であれば、人材確保とかなかなか大変ではあろうかと思うんですけれども、そういったところが許すのであれば、もっときめ細かい対応という意味では、各市、郡単位で設置していくということが望ましいのかなと思うんですが、将来的に子ども家庭相談センターはどのようにしていこうと考えていらっしゃるのでしょうか、部長、お願いいたします。 ◎市川 健康医療福祉部長  緊急時のより迅速な対応を追求するということでいきますと、子ども家庭相談センターのさらなる増設が有効な手段と考えられるところでございますが、一方で職員が様々なケースを経験いたしまして、スーパーバイズに成長していくためには、ある程度の規模をもつ組織であることが必要とも考えております。まずは4つ目の子ども家庭相談センターをしっかり整備し、人材確保、人材育成を行いまして、先ほど御答弁いたしました効果を発揮できるよう体制を整えまして、4センター体制におきまして市町関係機関等と連携を強化いたしまして児童虐待事案に対応してまいりたいと存じます。 ◆川島隆二 委員  特に大事なのは、警察との連携だと思いますので、今回3名の方が入られますけれども、この辺の連携強化を今後ともよろしくお願いいたします。  続きまして、子供、若者の暮らしにおいては児童虐待問題のみならず、周りからは見えづらい孤立、孤独等の困難な課題も生じております。新型コロナウイルス感染症の拡大後は交流や見守りの場、それから相談支援を受ける機会の喪失等により、社会に内在していた子供や若者の孤独、孤立等の課題が顕在化、深刻化しているというふうに思います。  世界的に見ても、実は日本の子供が社会的孤立を抱えてる割合は突出しております。なぜ日本では子供たちが孤独、孤立を抱えているのか、この問いかけに県は答えを出していかなければなりません。孤立、孤独等の困難を抱える子供、若者に対し、県は今回の予算の中で具体的にどのように対応しようとしているのか、健康医療福祉部長にお伺いいたします。 ◎市川 健康医療福祉部長  困難や生きづらさを抱える子供、若者の孤立、孤独を防ぐため、市町や民間団体等と連携しながら、彼らが地域や社会とつながる場づくりを進めますとともに、地域で支える相談支援体制の整備を図ってまいりたいと存じます。  具体的には、電話やSNSなどを利用した相談支援体制の充実を初め、NPО等が行います子供の居場所づくりを支援する地域の魅力を生かす子供の居場所づくり推進事業の創設、ピアサポートやオンラインサロンなど子供、若者に寄り添った相談支援活動を支援するヤングケアラー支援体制強化事業の創設、さらには、今年度から実施しております児童養護施設の退所後児童等への支援を行います地域擁護推進事業の拡充を行うこととしております。 ◆川島隆二 委員  そういった意味では、さっき出てた子ども食堂なんかでも、いろんな気づきの場面があると思いますので、そういったところでもいろんな地域の場面で、そういった気づけるような場所をつくっていただければなと思いますので、よろしくお願いいたします。  続いて、重点化特別枠でありますが、地域擁護推進事業であります。これはケアリーバーの自立支援を含めた包括支援をしていくために児童養護施設がない北部地域に拠点を整備することで、南部地域と同様に支援をされていくことになると思いますけれども、先日、小川委員からも質疑がありましたが、より詳しく現状と課題について部長にお伺いします。 ◎市川 健康医療福祉部長  答弁を奥田子ども・青少年局長に委任いたします。 ◎奥田 子ども・青少年局長  児童養護施設等を退所したケアリーバーの多くは家庭基盤や保護者とのつながりが脆弱であり、生活全般を自分で管理し維持していくことが難しいため、自立に向けた継続的な支援が大変重要だと考えまして、今年度から退所後も地域で支える地域擁護推進事業を開始したところでございます。  支援拠点を守山市に設置いたしまして、福祉、就労、保健医療、教育および司法等の関係団体を構成員とする滋賀県地域擁護推進協議会に委託し事業を実施しているところでございます。  支援拠点では、総括員と相談支援コーディネーターを配置するとともに、児童養護施設において退所前後の支援を行う自立支援専門員とも連携して、相談支援や居場所づくりを進めておりまして、令和4年1月末現在、相談支援件数は延べ371件、その主な内訳といたしまして、生活相談が323件、就労相談が42件でございまして、居場所活動である若者食堂の参加者数は延べ268名という状況になっております。  課題といたしましては、継続的に相談支援を行っているケアリーバー30名のうち、北部在住者は2割の6名となっておりまして、北部在住者にとりましては、守山市から距離があり、支援が十分に行き届いていない状況にあると認識いたしております。  そのため、次年度は彦根市にも支援拠点を整備し、市内の児童心理治療施設とも連携いたしまして、北部に暮らすケアリーバーの居場所づくりや相談支援をしっかりと進めてまいりたいと存じます。 ◆川島隆二 委員  同事業の今後の取組についても、より詳しく御説明いただけますでしょうか。部長お願いいたします。 ◎市川 健康医療福祉部長  答弁を奥田子ども・青少年局長に委任いたします。 ◎奥田 子ども・青少年局長  この事業は困難を抱えた子供、若者を社会や地域とのつながりの中で支えていくという地域擁護の考えのもと、県と様々な分野の団体が連携して地域全体で継続して支えていこうとする全国に先駆けた滋賀ならではの取組でございます。  次年度以降は次の3点について充実してまいりたいと考えております。1つ目といたしまして、ケアリーバーの支援に当たって地域の関係支援機関と協働したアウトリーチ型の相談支援、2つ目として退所後の支援をより効果的に行うため、施設の入所中から職場体験や自立生活に向けた訓練等との連携、3つ目といたしまして、個々の相談支援活動を通じて明らかになったケアリーバーの生活課題について対応の検討と支援、これら3点を充実してまいりたいと考えております。  次年度は2拠点となりますことから、まずはそれぞれの拠点で取組をしっかりと継続できるようにする必要があると考えております。ケアリーバーを含む様々な困難や生きづらさを抱える子供、若者を取り巻く状況は厳しさを増しており、彼らの思いにしっかりと寄り添い、必要な支援をより円滑、かつ丁寧に提供できる仕組みを構築してまいりたいと存じます。 ◆川島隆二 委員  この問題はずっと小川委員が取り上げて、先日も質疑をされてましたけれども、やっぱり子ども・青少年局でもこれは非常に課題としておりまして、ここまで進んだということは、本当に皆さんの御努力のたまものかなと思います。また、敬意を表したいというふうに思います。  今年、知事が子ども、子ども、子どもということで、子供政策に力を置いていくということを力強く表明されたということでありますけれども、奥田子ども・青少年局長を中心に子供政策をまとめられてきたと思います。今年、奥田局長は定年退職されるということで、なかなかいい政策を次世代に残していただけたのかなと思っております。  そうしたこれまでまとめてこられた子供政策を、これをこれからやっていくということは非常に大事でありますので、そういった意味では、それを推進していく、奥田局長に続く職員さんは、これからどんどんまた育てていただかなければならないなと思ってはいるのですけれども、特に、困難を抱える子供たちにどういうふうにして支援をしていくのか、そこに力を注いでいくのかということが大事であろうと思っておりますので、最後に、こうした予算が子供たちに未来にどうつながっていくのか、どう結びついて効果を発揮してするのかといったことを部長にお伺いしたいと思います。 ◎市川 健康医療福祉部長  新たな子ども家庭相談センターの設置によりまして、センターのみならず、市町、地域の支援機関を含めた県全体の子供と家庭への相談対応力が向上することとなりまして、子供の安全かつ安心した生活につながるものと考えております。  また、ヤングケアラー、ケアリーバー等困難を抱える子供、若者への相談支援や居場所づくりは孤立、孤独を感じる当事者や家族などが人と人とのつながりを実感できる機会となりまして、彼らがもつ困難や生きづらさの解消のきっかけになるものと考えております。  次年度はコロナ禍において顕在化いたしました、あるいは深刻化いたしました子供、若者の孤立、孤独を防ぐため、彼らを地域で支えていく環境の整備に努めることとしております。子供、若者の声や思いに寄り添いながら必要とされる支援が子供、若者の幸せな未来に結びつくよう、こうした取組を着実に進めてまいりたいと存じます。 ○奥村芳正 委員長  以上で、川島隆二委員の質疑を終了します。  以上で、発言通告のありました質疑は終了しました。  この際、関連質疑はありませんか。  関連質疑があるようでありますので、しばらく休憩いたします。 休憩宣言  14時10分 再開宣言  14時43分 ○奥村芳正 委員長  休憩前に引き続き、予算特別委員会を開きます。  関連質疑の発言通告書が提出されておりますので、これを許します。  節木三千代委員、待機席へお願いします。  それでは、節木三千代委員の発言を許します。 ◆節木三千代 委員  小川泰江委員の教職員給与費に対する教育長の答弁について、全て教育長にお聞きいたします。  非常勤講師ではなく、学習アシスタントに代わったとしても教育の質は担保できると答弁されましたが、その理由についてお聞きします。 ◎福永 教育長  小川委員の御質問に対して答弁させていただきましたとおり、現在、多人数の特別支援学級では、非常勤講師の皆さんが子供の理解度の確認、課題や作業の支援等、児童、生徒の学習サポートを行っていただいているところでございます。この業務を次年度は学習アシスタントに担っていただくこととなりますが、授業そのものは引き続き学級担任の教員が行っていくこととなりますので、教育の質は担保できるものと考えているところでございます。 ◆節木三千代 委員  教室にいるときだけでなく、子供一人一人の学校生活全体、その一つ一つの行動、様子を掴んで支援教育に生かすという御努力が現場ではされていると思います。その点でも専門職である教員免許を持っておられる非常勤講師の皆さんの役割は大変重要であります。クラスによっては1年生から5年生までというときもありますし、だからこそ、特性に基づいた個別の支援が必要です。だからこそ、これまで非常勤講師を担任に加えて付けてこられたのではないでしょうか。これがなぜ、無資格者で入って教育の質が後退しないと言えるのか、教育長に再度伺いたいと思います。 ◎福永 教育長  小中学校の特別支援学級は様々な形があるということは、十分認識しております。この制度は小川委員の御質問にもお答えいたしましたが、平成16年にスタートさせていただきました。学校現場ということで非常勤講師の方にお願いしてきたところでございます。  しかしながら、現在、特別支援学級の数が大幅に増えてきている。そういった中でしっかりとした子供たちの支援を引き続き行っていくことが一番重要であると考えたところでございます。  一方で、令和2年度からコロナ禍におけます子供たちの学びの保障のために新たな職種として学習アシスタントの配置を行ったところでございます。この学習アシスタント、教員免許を持たない方も多数いらっしゃいますが、子供たちに丁寧かつ温かく対応していただきまして、子供たちの学習保障、また心の安定に寄与していただいている、こういったことも考慮して今回の対応を考えさせていただいたところでございます。 ◆節木三千代 委員  今の答弁では納得できません。教育長のせんだっての答弁を聞いて、関係者からは「せっかく定員基準をよくしようとしているのに、無資格者でよいのか。特別支援教育が軽視されている」とこうした声も私のところに寄せられています。教育長、どのように思われますか。 ◎福永 教育長  県立の特別支援学校だけでなく、小中学校の特別支援学級、また通常の学級においても特別な支援を必要とする子供たちに学びの保障、子供たちに対する対応をしっかりと考えていくことは私の役目だと認識しております。全ての子供たちに学習保障をするためにどういったことができるのか、一定決められた財源等、そして体制、人の中で何ができるのかを考えて今回の対応をさせていただきましたので、今後、担任の先生、そして学習アシスタントの皆様には、滋賀の障害のある子供たちのために頑張っていただけるよう私としてもしっかりと対応してまいりたいと考えております。 ◆節木三千代 委員  学習アシスタントに代わっても教育の質は担保できるという答弁でありましたけれども、学習アシスタントでなぜ担保されるのか、そこについてはしっかりともう一度答弁していただきたいと思います。 ◎福永 教育長  学習アシスタントの方を採用するに当たりましては、市町の教育委員会、また各学校で面接を通しまして、その方のこれまでのキャリア、あるいは思いなどを十分確認した上で採用していただくこととしております。そういった手続を通じまして、学校現場において子供たちのために頑張っていただける教員を採用できるものと考え、そのことが子供たちの学びの保障につながるものと考えております。 ◆節木三千代 委員  教員の免許を持たない学習アシスタントに代わられるということでは、公教育の県としての役割が果たせていないというふうに指摘をしておきたいと思います。  各学校で臨時講師の確保に非常に苦労をいただいている。また、非常勤講師をいつまで充てるのか、制度的に厳しいとの答弁がありましたが、教員の不足の原因について教育長にお聞きいたします。 ◎福永 教育長  今回御答弁させていただきましたのは、講師の点でございます。講師不足の要因といたしましては、近年、定年退職をされる先生方が増えていること、また、小中学校の特別支援学級が増加していること、こういったことに伴いまして多くの講師の先生方が正規採用されてきたところでございます。また、様々な役割が今教員に求められているということで、教員を志望する人が少なくなってきている、こういったことが要因だと考えているところでございます。  さらに、本県におきましては、若手の教員等が増加しております。このことに伴いまして、育休等で休まれる先生方が増えてきているというのも講師のニーズが高まっている要因の1つだと考えているところでございます。 ◆節木三千代 委員  今回、非常勤講師から学習アシスタントに代わり、そしてその非常勤講師の方が臨時講師として採用される可能性もあるということも担当課のやりとりの中でお聞きいたしましたが、しかし、午前中の議論でもありましたように、非常に非常勤講師の給料は少ないと。6万円から9万円、正採用としても差があるという中で臨時講師の給与の差ですけれども、定数内で臨時講師を一定数配置されているというふうに聞いていますが、私はこの際、こうした臨時講師については県として正規雇用をして、教員の処遇改善をしっかり図って教員不足を改善すべきだと思いますがお聞きいたします。 ◎福永 教育長  教員の採用、確保につきましては、様々な点を考慮しながら進めなければならないと考えております。まずは、多くの方が教員を志望され、優秀な人材を確保できることが大切ですので、そのために教員の皆様の働き方改革を進めますとともに、滋賀の教員の魅力、午前中にも御答弁させていただきましたが、それをしっかりと若い皆さんに発信して教員になっていただくことが1つだと思っております。  あわせまして、正員につきましても、現在臨時講師の方を計画的に正員になっていただく取組も順次進めているところでございます。  ただ、今後、本県におきましても、児童、生徒の減少が見込まれるという状況もございます。そういった先を見据えた計画的な教員採用についても県教育委員会としてしっかりと考えてまいる所存でございます。 ○奥村芳正 委員長  以上で、節木三千代委員の質疑を終了します。  以上で、全体質疑を終了します。
    2 分科会の設置について ○奥村芳正 委員長  次に、予算特別委員会設置要綱に基づき、5つの分科会を設置いたします。  来る8日および9日はお手元に配付の調査日程のとおり分科会を開催願います。  なお、各分科会における調査項目はお手元に配付の一覧表のとおりでありますので、その所管事項に関する部分について、それぞれ調査願います。  また、調査結果につきましては、来る16日午前10時から委員会を開催し、各分科会長から報告を求めます。  以上をもちまして、本日の予算特別委員会を閉会いたします。 閉会宣告  14時55分...